
「1日1スタートアップ」を続けていると、よく聞かれる。そんなにたくさんのテーマ、どこから見つけてくるのか、と。
今のところの答えは「ハイブリッド」。現場に実際に行って自分の目で見て気づくものと、AIがWebから拾ってくるもの。どちらか一方だけでは足りない。
現場は深いが、部分的で遅い
現場で気づくテーマには、強さがある。
目の前で誰かが困っている。その場で競合のサービスを使わずに、手間をかけてやり過ごしている。 こういう場面に出会うと、「どれくらい困っているのか」「なぜ既存のサービスを使わないのか」まで肌感覚で分かる。 数字やレビューからは見えない、構造的な不便さや心理的なハードルが見える。
ただ、現場には限界もある。自分が行ける場所、出会える人の範囲でしか気づけない。1日に観察できる場面の数も限られている。深いが、部分的で遅い。
AIは広いが、浅い
一方、AIに探させると、量が一気に増える。
SNSやQ&Aサイト、アプリのレビューから、当事者が困りごとを語っている投稿をAIが集めてくる。自分が行ったことのない業界、会ったことのない立場の人の悩みまで拾ってくれる。広さでは、現場は到底かなわない。
ただ、AIが拾ってくるのは「話題が存在する」ことの証拠であって、その人がお金を払ってでも解決したいかまでは分からない。ネット上の声は、どうしても表面的になりやすい。広いが、浅い。
組み合わせると、量と質が両立する
そこで今は、両方を組み合わせている。
現場で気づいたことをメモに残す。そのメモを起点に、AIが似た構造の場面を横に広げていく。広げた仮説ごとに、AIが当事者の生の声を探して裏付けを取る。裏付けの取れたものだけを評価に進める。
逆のパターンもある。AIが拾ってきたテーマのうち、気になるものは自分で現場に確かめに行く。
現場の深さを起点にAIで広げ、AIの広さで見つけたものを現場で深める。この往復があるから、テーマの数を確保しながら、筋の悪いものに時間を使わずに済んでいる。
結局、起点は人間の目
ハイブリッドとは言っても、やってみて感じるのは、起点の質は人間の目で決まるということ。
以前、テーマ設定だけはAIに任せられないと書いた。AIはテーマを広げるのは得意だが、「これは本当に困っている」という手触りを持ち込むのは、現場に行った人間の役割だと思っている。
AIに探させるほど、自分の足で現場に行く価値は、むしろ上がっているのかもしれない。
まだ最適なやり方を見つけているわけではないが、模索しながらも人間の責任を放棄することなく進めていきたいと思っている。
この取り組みのスタート宣言はこちら → AIが来て、ひとりスタートアップが変わった。
前回のノウハウはこちら。→ 「AIが人類を滅ぼす」という議論と、日々AIを使う実践者から見える景色
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