Instagram 買収にみる売る側の戦略戦術を考えてみる

Facebook による Instagram 買収はスタートアップ業界にとって驚愕だったし、シリコンバレーはこれだけ大きな買収額の案件が出る特別な場所だと改めて思うところだった。確かに3000万ユーザの価値は高いが、売上がない状態で $1B(800億円)の売却額は素直に納得するには大きすぎる金額だなと思っていた。何かからくりというか、戦略戦術があるはずだと思ってちょっと調べてみた。

Instagram の CrunchBase を見てみると色々見えてきた。あくまで想像ではあるが考察してみる。

買収確定直前の資金調達

Facebookによる買収の記事は4/9に出ている*1。実はその数日前の4/5にシリーズBの資金調達記事が出ている*2。実際シリーズBが行使された日付は分からないが、記事になる数カ月前ということはないだろう。シリーズBの調達金額は$50Mで、バリエーション$500Mということが明らかになっている。記事公開の日付をそのまま鵜呑みにすると数日間でバリエーションが倍になっていることになる。

その14ヶ月前に行ったシリーズAのバリエーションは憶測だけど$20Mと言われていて*3、それを考えるとシリーズBのバリエーション$500Mは上がり過ぎだろうと思える。

Facebookのマーク・ザッカーバーグが3日間で交渉を成立させたという情報がある*4。ただ、18ヶ月前にFacebookとGoogleがアプローチしていたという情報もある*5。おそらく、3日間で行ったのは最終的な決断の部分であって、最初のゆるい段階でのコンタクトは18ヶ月前に始まっていたことを考えると、具体的売却条件の提示はすでに行われていたと考えるほうが普通だろう。

考察

シリーズBの調達がなければ$1Bという金額にはならなかったはず。むしろ、売却金額を大幅に上げるためのシリーズBを行ったといえる。シリーズBが行われたことによって、売却金額のスタートはシリーズAのバリエーション$20Mから$500Mに跳ね上がって、Facebook はそれ以上の提示をする必要があったことになる。

つまり、VCは Facebook との売却交渉を知っていて、売却益を自分たちも得るためにシリーズBを仕掛けた。特にシリーズBで初めてInstagram に投資した Sequoia Capital にとっては仕掛ける価値のある大きなチャンスだったに違いない。

Facebook上場前のタイミングでの売却

Instagram の CrunchBase を見るに、売却金額$1Bの内訳は株式とキャッシュになっている。株式は上場前のFacebook株だ。Facebook はまだ上場していないので、$1B分のキャッシュは用意しないだろうし、株を混ぜるのは普通の発想。実際、上場申請より純利益は$1Bなので、1年分の純利益が吹っ飛んでしまう*6

どの程度の株式交換比率がわからないが、確実に言えることは、Facebook株は上場後に必ず金額が跳ね上がるだろうから売れば利益が出る。と言うことは、キャッシュよりもむしろFacebook株の方が、Instagram側にとってはゲインが確実視出来るので良い。

考察

この戦術は Instagram 創業者が持っていたというより、VC が提示して Instagram 創業者の同意者と実行され、狙い通りに実行できたと考えたほうが普通だろう。

Facebook上場前にFacebook株をどうやって手に入れるか、というのはコックでもいいから雇ってほしいと思う個人から VC からみんな同じだろう。この観点からいけば Instagram 売却はVCにとっては上場前のFacebook株を得るベストな方法だった。

Facebook側も上場前の株が上がることを考慮した株式交換比率を提示できるだろうから、純粋に$1B出すことにはならずに提示しやすかっただろう。もし、株式上場後だったらこの金額を提示するのは難しいだろう。実際、争っていた Google にはこの金額はキツかったのではないか。

まとめ

こうやって見てみると、VCの戦略性の高さ、戦術のしたたかさを感じざるを得ない。

彼らは実にシンプルに、

  • 売却金額をどれだけ大きくするか
  • Facebook株を得てさらに上場後のゲインを出す

これにフォーカスして、実際ものにした。

ここまでの戦術を日本で打てるVCはいるのだろうか、いないだろうなぁ。戦術がダイナミックすぎるのと絶妙なタイミング(上場前という時間制約がありつつ、有利な条件を引き出したいというバランス)で結果を出す。これを実践する高いスキルが必要なことも想像できる。

シリコンバレーの力というのは、創業者の優秀さは確かにあるけど、それにも増して投資側であるVCの強烈な力がエコシステムを作ってくれるのだと思う。

実際、Facebook上場という一つのビックウエーブに対して、狙いを定めちゃんと乗ることが出来きたのだから、うーんさすがシリコンバレーパワーや、と思ったのでした。

売却直前の資金調達のようなテクニックがグレーゾーンであるのか、あまり売却金額をどう大きくしたのか、のような観点で解説した記事がなかったもので書いてみたのもある。多分まだそういう段階に日本は来ていないので、お金の戦略性のような話題はあまり飛び交わないが、それくらい考えてやっている人達がいることを起業家、VCは知っておいていいと思う。

Titanium Mobile で開発した iPhone アプリに AdMob を導入する

バージョンアップ開発中のすき間iPhoneアプリ[email protected][email protected][email protected]にも残しておく。

Titanium Mobile の提供元である Appcelerator から AdMob 用のモジュールも提供されたので、それを iPhone アプリに導入するための手順です。

Appcelerator Developer Blogよりmodules提供のお知らせのポストだと手順がわかりづらかったので、それより新しめのAndroid導入用のポストの動画を参考にさせてもらった。

1. Appcelerator の github から AdMob modules をダウンロードする

いくつかのmodulesがgithubで公開されている

  1. 今回必要なのはiPhone用のAdMobモジュールなので、この階層(admob/mobile/ios)まで移動する。
  2. このディレクトリ内にある、「ti.admob-iphone-***.zip」というファイル名を見つける。
    • 自分が確認したときは ti.admob-iphone-1.0.zip と ti.admob-iphone-1.1.zip が置かれていた。
    • このファイルはビルドされた時に生成されるべきzipファイルだと思うけど、すでにが置かれていたのでビルドの必要はなかった。
  3. zipファイル名をクリックする。
    • 今回の場合、「ti.admob-iphone-1.1.zip」にした。
  4. 次に表示された画面にて「raw」リンクをクリックする。ダウンロードできるので適当な場所に保存する。
2. Titanium Mobile プロジェクト内へ配置する
  1. ダウンロードしたzipファイルをプロジェクトディレクトリ直下(Resourcesやtiapp.xmlと同じ階層)に移動する。
  2. zipファイルを開き解凍する
  3. modulesディレクトリが作成される。
    • 中身は今回の場合、iphone/ti.admob/1.1/… のようになっている。
  4. 不要になったzipファイルを削除する。

以下のように、Resourcesディレクトリとtiapp.xmlファイルと同じ階層に「modules」ディレクトリが置かれればOK。

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3. tiapp.xml を編集する
  1. tiapp.xml を適当なエディタソフトで開く。
  2. の部分記述を変える。
    • 今回はバージョン1.1なので、以下のように記述した。

twitterのユースケースを考える

最近メール以外の手法として、twitter, facebookで連絡を取り合うケースが増えている。twitterでフォローしあっていればDMを送る。もしくはfacebookのフレンドになっていればMessageを送る。という具合で、face to faceで会ってお互いのプロフィールが分かっていて、それなりに関係が継続できている人に使っていると思う。多分、スマホにtwitterクライアントアプリやfacebookアプリを入れていれば、push通知よりリアルタイム性の高いやり取りが取れることを期待してる面もある。

半年くらい前までiPhoneのtwitterクライアントアプリとして、Echofonを使っていた。Echofonが買収された後はフリー版でもMentionやDMもpush通知してくれるようになり、通知が来るたびにEchofonを立ち上げて確認していた。

しかし、ある時Echofonを起動する時にすごいストレスを感じていることを自覚した。その理由はアプリ起動時にタイムラインも読み込むので、たった1つのMention or DMを確認するために無駄なトラフィックが流れている、またタイムラインの未読部分がずれてしまう。ためだと分かった。

Echofonのいいところは、タイムラインをどこまで読んだか情報を保持して異なる端末間でも同期してくれることだ。例えば、iPhoneで読み終わったタイムラインは、その後起動したPC上のEchofonでは表示されないので、未読から読むことができる。今回の場合、タイムラインを読むつもりがないのに、起動するたびに読み込まれ既読扱いにされて、本当の自分の未読部分がずれてしまう。

Echofonはtwitterが提供する機能をすべて網羅している素晴らしいアプリケーションなのだけど、Mention/DMだけをやり取りするアプリには向いていない or 想定していない事がわかった。

なぜこういうことが起きるのか考えたところ、twitterを中心としたユースケースに問題がある気がして、簡単な図を作ってみた。

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twitterにはタイムライン、Mention、DMと主な機能があるが、やり取りする相手はタイムラインの場合は全てのユーザとなり、逆にMention/DMは特定のユーザに対してコミュニケーションする。同じサービス上に対象者の規模が大きく異なる手段が混在している。コミュニケーションの形態として、対象が不特定多数の場合は言いっ放しになり、リアルタイム性は低くなる。だからタイムラインは暇な時に見る場合が多い。一方、対象が特定の一人の場合は会話形式になり、リアルタイム性が高くなる特徴がある。twitterの場合文字数制限があるので、チャットのように短めの文章で何回かやりとりしてコミュニケーションを進めるため、この特徴は強くなる。

全く特徴の異なるユースケースなので、この場合コミュニケーションを取る対象者で分けることができる。タイムラインとMention/DMは分離できる。むしろ分けないとEchofonのような不都合が生じた。

スマホアプリとpush通知機能のおかげでリアルタイム性の高いコミュニケーションが可能になった。だから、ユースケースとして異なる特徴を持つ機能は分けてアプリを提供する方がユーザビリティが高まると言える。これはPCとは異なる常時身につけるデバイスならではの特徴なのだろう。facebookがMessenger機能だけを持つiPhoneアプリをリリースしたのは、今までの話にそっており、理解しやすい出来事だ。

http://cdn.iphonehacks.com/wp-content/uploads/2011/08/facebook-messenger-logo.jpg?w=830

では、twitterではどうか?と考えると、有名なtwitterクライアントは数多くあれど、ほとんどがタイムラインとMention/DMを1つのアプリで取り扱う「全部のせ」に近い機能を持っている。

ということで、ないなら作るかというノリで、自分のプライベートカンパニーで、Mention/DMのやり取りだけに特化したtwitterクライア[email protected]

http://www.shakesoul.net/wp-content/uploads/2011/08/dmatchat.png?w=150

[email protected][email protected][email protected][email protected][email protected]してはOKだったと思っている。今後、1:1コミュニケーションを行う上で便利な機能を充実させて行こうと思っているところ。良かったら使ってみてフィードバックください。

ということで、考察から始まって結局自分のアプリの宣伝で終わってしまった。。。

心を整える。 長谷部誠

イビチャ・オシムの本を読んでからサッカーの奥深さを感じられるようになり、プレミアリーグやセリAの試合を見ながら、「勝つために必要な要素ってなんだろう」と素人ながらに考えたりする。また、サッカー選手と仕事をする自分自身の振る舞いを重ねあわせて、共通項をつくろうとするようになった。最近では、高いレベルで仕事をするにはアスリートのような振る舞いが必要だと思っていて、かなりサッカーから学べることは深いと思っているところだった。

勝つための要素としてよく言われるのがメンタルという単語で確かに必要だとは思うが、じゃあメンタルをどのように身につけ発揮していくのか。というところまで話は行かない。精神主義は好きではないので根性論はナンセンスに思えていた。そこで「心を整える」という言葉、自分の中でしっくりした気がした。読者に聞けば自己啓発本のようだということで読んでみたいと思っていた。

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

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この本は、長谷部誠選手が自分自身の経験を通じて守っている生活する上でのルール、ノウハウなどを解説している。

普段は知ることができない、監督や選手との会話、チームの練習風景、プライベートなど単純にへぇ~と思う新たな発見がある。と同時に、選手もサッカーという職業を仕事にする人間であって、仕事へのスタンスや自己管理について共通項は多いと気づく。むしろ、体を使う仕事なので、お酒は基本的に飲まない、食事の栄養バランスを気にするなど、派手に勘違いされやすいサッカー選手の振る舞いは実は堅実で、自らを律する強い意志やルールの元、行われていることに気付いた。

普段、これはっと思う点にポストイットを貼っているが、貼った箇所のタイトルだけ載せておく。

  • マイナス発言は自分を後退させる。
  • お酒のチカラを利用しない。
  • 組織の穴を埋める。
  • 勇気を持って進言すべきときもある。
  • 読書は自分の考えを進化させてくれる。
  • 遅刻が努力を無駄にする。
  • 正論を振りかざさない。

読み終わって思ったことは、メンタルはその時々の状況で変わっていってしまうものではなく、自分自身で常に意識的に整えようとするものだと思えた。不安定な情緒やパフォーマンスの幅がある人は、やはりプロフェッショナルとしての要素が不足しているということだろう。

やはりアスリートのような自己管理意識やパフォーマンス重視なスタンスが、今後自分が仕事をする上でさらに向上する際に助けてくれる要素になると思えた。

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一日の過ごし方 2011年10月編

サラリーマンを辞め自分の会社を始めた時に、一日のスケジュールを見なおしたことをブログに書いた

あれから2年が経過して自分の会社でも仕事をしてきた実績があり、去年3月からはfluxflexをスタートして環境は変わったので改めて見直してみようと思った。

今一日の過ごし方はこんな感じ。

6:00 起床、朝食、仕度
6:30 子どもに算数/理科を教える(最近なくした)
7:00 今日一日のTODOをリストアップして、順番を決める
7:30 work time1 (4.0h)
11:30 昼食、休憩 (1.0h)
12:30 work time2 (4.0h)
16:30 休憩 (1.0h) : 散歩 or 本読む or RSS読む
17:30 work time3 (1.5h)
19:00 残業 or 自由時間 (2.0h)
21:00 夕食、休憩、風呂 (1.5h)
22:30 private time (1.0h) : study or blog書く
23:30くらい 寝る

2009.02時点ではwork time が合計10.5h、work timeの間の休憩が2hくらい。今は work time 合計が9.5-11.5h、休憩は2hくらい。仕事できる時間はそんなに変わっていないし、これ以上多く設けることは難しいだろう。

最近は外出が多めだけど基本的にはこの枠に収まるようにスケジュールしている。夜の会食とか懇親会とかが入ると一気に夜のスケジュールが崩れて拘束時間も多くなるので、あまりたくさん入れないようにしている。完全プライベートで飲むことはほとんどなくなった。

土日は家族と一緒にリフレッシュするために完全に仕事から離れることにしている。PC全く触らない時もある。と言ってもどうしてもの時は土曜の午前中から夕方でやるときもある。

2008年のサラリーマン時代の時間の過ごし方を円グラフで示したブログを書いたが、同じように書いてみるとこんな感じ。

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一番変わった点は基本自宅で仕事するので出勤時間がなくなり、仕事時間を増やせるようになった。ただ、今以上仕事時間を増やすと睡眠不足や集中しにくくなり次の日以降に悪影響が出るので、やはり仕事時間のMaxは12時間だと見ている。1日のタスク処理の量もこの時間で収まるよう、朝一のTODOリストアップ時に考慮している。

土日も含めた1週間でみると以下になった。

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睡眠と仕事でかなりの割合を占めるのは前と変わらないところ。やっぱり家族で過ごす時間が少ないよなぁ。朝食を家族一緒に取ることを決めているが、短い時間だけど大事な事だということが分かる。

時間の使い方を客観視するのは、自分の環境変化に影響を受けていることが分かるし、マネージメントしやすくなるので、今後もふとした時にまとめてみたいと思う。

Titanium Developerで開発したiPhoneアプリをAppStoreに登録する方法

Titanium Developer はもう古くて TitaniumStudio だとは思うのだけど、一応メモしておいたので公開。

事前に以下のことが終わっていること

  • 実機でのテストが終わっていること
  • iOS Dev Center, iTunes Connectへのログインが出来ること
    • ¥10,800の支払いがが終わっていること

参考にしたページ: http://blog.livedoor.jp/tattyamm/archives/2957285.html

1. Distribution Certificate作成用CSRファイルの作成
  1. 手元のMacのキーチェーンアクセスから作成する
  2. Distribution用フォルダに保存する
  3. ファイル名: CertificateSigningRequest.certSigningRequest
2. iOS Provisioning PortalにてDistribution用Certificateを作りダウンロード
  1. ローカルに保存したCSRファイルをアップロードする
  2. Distribution用フォルダに保存する
  3. ファイル名: distribution_identity.cer
  4. 同じページより、AppleWWDRCA.cerもダウンロードする
  5. 2つのファイルをダブルクリックして実行し、キーチェーンアクセスに登録する
3. Distribution用Provisioningファイルを作成する
  1. developmentと同じprofile nameは使えないので変える</p>
    • どうやら大文字小文字区別は付けていないようだ
  2. Distribution用ファルダに保存する
    • 参考 ファイル名: dmatchat_distribution.mobileprovision
  3. ダウンロードしたファイルを実行し、Xcode上に登録する
4. Titaniumでパッケージを作る

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ここからの参考: http://webtech-walker.com/archive/2011/02/22130853.html

  1. Test & Package – Distributeより、Distribution用Provisioningファイルを指定する
  2. Select Distribution Locationで適当なフォルダを指定する
  3. Provisioningファイルを置いたDistribution用フォルダにした
  4. Packageボタンを押す、エラーがなければXcodeのArchivesに表示される
5. iTunes Connect にてアプリ登録する

ここからの参考 http://blog.livedoor.jp/tattyamm/archives/1177705.html

  1. iTunes Connectにログイン
  2. Manage Your Applications – Add New App
  3. Ready to Upload Binary を押して No を選ぶ
  4. statusがWaiting For UploadになったらOK
6. XcodeのArchivesからSubmitする

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  1. 該当のアプリを選択して、Submitボタンを押す
  2. iTunes Connectへのログイン情報を入れる
  3. 証明書をdistributionを選択をする
  4. しばらく待つと完了
7. iTunes Connect上のステータスを確認
  1. Waiting For Review になっていればOK
  2. 完了

ダントツ経営

テレビでコマツが世界規模での販売やサーポートを展開しているグローバル企業として紹介されていて、そんなイメージが今までなく結構意外に思った。あるブログでこの本を紹介していて、コマツが世界的に展開する際の視点やノウハウをもっと知ってみたくなって買ってみた。

ダントツ経営―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」

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コマツ 現会長 板根氏が長いコマツの社歴の中で経験したことを交え、世界の中で勝負するために何を考えてきたかが分かる。

読んで気づいたことは、世界で展開するためには割り切りが必要で、日本標準もしくは常識と思われがちな基準を一度捨て、世界的な基準に変えていること。具体的に文章内では以下のような実践があった。

  • 2010年春から新入社員の研修に中国語の授業を取り入れ</p>
    • それまでは英語の研修だったが、今時の学生はTOEICでも高い点数をとれるので
  • 子会社を1.5年で300社から110社減らす
  • 他国と比較しての日本の強味と弱味を把握している
    • ものづくりにおける日本の力は突き抜けており、アメリカとは比べものにならない
    • 生産技術者を日本でじっくり育て、世界の工場に送り込むのが早道
  • 社内システムを独自システムから汎用ソフトに一本化する
    • 仕事のやり方をシステムに合わせる
  • これからはアジアの時代

これらの根幹となる意識の持ち方で、日本の現状を指摘している文章があった。

少子高齢化などさまざまな背景がありますが、私は「日本人の誰もが傍観者になってしまっている」ことが根本の理由に思われてなりません。

日本の現状にある程度の危機感は持っているものの、明確な処方箋が示されないので、何をどうすればいいかわからず、呆然と事態を見守っている、という感じでしょうか。

「グローバル企業」という何となくなイメージで進んでいるわけでは決してなく、世界を舞台に競合や市場を相手に実践し続けてきた成果と実績が確かにあり、この実践主義がコマツをグローバル企業にしていることがわかる。やはり実践しながら進めていくことでしか前進はありえない、ということをコマツは示してくれているのだと思う。

文章としては事実に基づいて意外とあっさり書かれている。もう少し深い考察や洞察、論理的な解説があると、読者が他の場所で試してみるような、普遍的動きが作りやすくなると思うけど。その点が唯一残念な点で、内容は実践的なのでとても参考になった。

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「51歳の左遷」からすべては始まった 川淵三郎

「51歳の左遷」からすべては始まった (PHP新書)

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Jリーグ発足時にチェアマンだった川淵三郎さんの本。サッカー協会にいる間というよりかは、サラリーマン時代より共通して重要だと思った事項をまとめた付属的なお話といえる。自分の中で日本サッカーの躍進と基本思想といえば、この人が象徴的な存在になっている。

タイトルに「左遷」とあるが、実際は子会社へ部長職での出向なわけで「左遷」というには大げさかと思う。さらにサブタイトルの「大逆転のリーダシップ論」とあるがリストラされて職を失ったわけでもないから、大逆転というのも釣りっぽい感じがする。

ただ、51歳という人生における「何らかの落ち着いた職に就くだろう年代」から日本サッカーリーグに入り、Jリーグを発足させ、トップのポジションに就いたことを考えると、新しいことをなす時には年齢は関係ない。ことを実践しているわけで、これは40歳以降のキャリアデザインができない自分にとっては大きな励みになった。

というのも、転職する、起業するなど手法がどうあれ、職種を変える、今いるフィールドを変えることはとても大きなリスクであって、確実に自己実現につながるキャリアアップになるか、経済的にも成り立つのかの問に対して、確実なことは何も言えない。

特に年齢が上がるほど、キャリアが上がっていることを想定すると、よりスケールの大きなことを望むはず。「スケールが大きい = 失敗のリスクが高い」だろうから、本当にチャレンジしていいものかどうか、それを現実的なプランにしていいのかどうか。まだよく考えられていない状況がある。

励みになったからといって、今からJリーグのチェアマンになるという目標はたてないと思うけど、なにか今と違ったフィールドを想定するのもいいなぁと思った。

書かれている内容は川淵さんが古河電工のサラリーマン時代に得た経験やノウハウで、チェアマン、キャプテンとして日本サッカー協会の中でも使ってきたものを紹介している。

大企業でたくさんの役割の人の中でのふるまい方というのは確かにあって、スタートアップの経験とはまた異なるノウハウは確かに存在すると思う。これはこれで貴重な経験、ノウハウだと思っている。

Jリーグの地域密着とか芝生の校庭の小学校をとか好きなのだけど、その思想がどこから来たかはこの本からはわからないが、サラリーマン時代のノウハウというのはスポーツ界でもいろんな場で生きるものだと思えた本。

この本が出版された年が2009年でこの時70歳で、キャプテンも辞められているが、実に20年以上も時が流れ、携わり続けたことが何とも素晴らしいキャリアだと思う。

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日本人よ! イビチャ・オシム

いきなりだが日本代表前監督イビチャ・オシムが好きだ。

今はもう日本代表監督は岡田監督をへてザッケローニ監督になり、日本の世界サッカーでのポジションもワールドカップ以降、急激に成長した。この躍進に直接関与しなかったこともあり、日本の中では過去の人になっているのかもしれない。

自分にサッカーの面白さ、奥深さ、世界視点でのサッカーを教えてくれたのはこのオシムだった。いくつかのオシムに関する本を読んできたが、この本も同じように色々なことを教えてくれる。

日本人よ!

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書かれた時代は日本代表監督就任後、1年ほど経過したとき、脳卒中で倒れる前になる。

この本は日本でジェフ市原(現、ジェフ千葉)の監督時代から日本に住み、日本サッカーの発展を牽引してきた、オシムなりの日本に対するメッセージが詰まっている。話好きなオシムのことだから本当はもっと多くのことを述べたかったのかもしれない、それを思うとボリュームを抑えたページ数は彼の思いが凝縮された一冊だと思う。

サッカーというものへの向かい方、捉え方、世界のサッカーのトレンド、世界の中の日本というポイントで彼なりの思想、伝えたいことを示している。

日本のサッカーに携わる人達、協会、マスコミ、サポーター、ファン、それほどでもないファンがもう一つ奥深くレベルを上げてサッカーというものに取り組むときに必要なエッセンスが散りばめられている。

あくまでオシムは自分の考え方の押し付けはせず、日本人に問いかけ考えさせる。答えはこちらにあり、それを見つけだせるように促してくれる。

Jリーグが発足して以降、日本においてサッカーは市民権を得て、日本代表はワールドカップ出場、アジアカップ優勝の実績をあげてきたわけだが、そこに対して我々は何かフィーバーのような感覚で接していなかったか、相手の実力や実績を知らずに根拠なく、勝ち続けることができるような気がしていなかったか。

より相手を知って、己を知って、サッカーを知って、世界を知って、より客観的に捉えるように戒めを与えてくれる。

オシムの指摘は的確だと思う。それは彼自身、日本の文化、歴史について学んだ上で述べているからであり、文章中でも日本の歴史的背景を踏まえている部分が見つけられる。

この本を読んでからサッカーの試合を見るとなにか印象が変わっていることに気づく。試合を冷静に考えつつ見ることができて、サッカーが起きることが何か荘厳な人生の教訓を教えてくれるようなものに感じられた。

サッカーをもう一つ深い視点で見たい人、サッカーともう少し深い付き合いにしたい人にこの本を薦めたい。

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オンラインゲームを支える技術

元コミュニティーエンジン社長のringoさんから「オンラインゲームを支える技術」を献本していただきました。ありがとうございます。

ringoさんとは2007年に meet-me の立ち上げの時に初めて出会って、独立した後の2009年に ShakeSoul としてバーチャルコミュニティーサービスの立ち上げプロジェクトで声をかけてもらって一緒に仕事させてもらった。帰り道に電車の中で色々言い合ったことがとても楽しい記憶に残っていて、今後も一緒にできたらと思っている人だ。

オンラインゲームを支える技術  --壮大なプレイ空間の舞台裏 (WEB+DB PRESS plus)

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この本はオンラインゲームをつくり、運営/運用するための要素がまとめられている。

タイトルに「支える技術」とあるが、トータルとして必要な要素に触れているので、技術だけでなくオンラインゲームそのものの奥深さを実感できると思う。エンジニア以外のソーシャルアプリプロバイダーの経営的な立場にいる人にとってはMMORPGのような規模の大きいゲーム作りへの模索が可能になるかと思うし、逆にエンジニアにとっては技術を知るだけにとどまらず、技術がオンラインゲームを構成する上でどういう重要度や立ち位置なのかを知ることができると思う。

曖昧な解説にとどまらず、概念から具体化していくようなアプローチが取られており、筆者の10年以上オンラインゲームづくりに関わってきて血肉化された経験の結晶だと思う。

オンラインゲームのシステム構成やその技術手法はWebとは異なる歴史があり、ゲーム会社がそれぞれ独自に開発してきたことやゲームシステム自体に閉鎖性が必要なためブラックボックス化されてきた。各ゲーム会社の技術ノウハウが共有されることはなかった。やっとオンラインゲームの技術情報がオープンになりつつある。そのきっかけとしてこの本の役割は大きい。

この本を読めばオンラインゲームを作るための必要な要素が分る。本格的なMMORPGを作るための要素はにはWebサイトをつくるととは全く異なるため、Webの延長では簡単には参入できないことが実感できる。Webの参入障壁の低さに比べ、オンラインゲームをちゃんと作ることはとてもシビアな世界だと言える。すでにWebの技術要素が単純で効率化され整った環境が用意されているし、特に最近はRuby on Railsなどのフレームワークによってより効率的な環境を利用することがはやりの方向なので、なおさらかと思う。今後オンラインゲームも同じ方向に進むと思われるし、そんなサービスも作ってみたいが、まだまだ超えるべき技術的な壁が数多くある現状かと思う。

オンラインゲームの求める要件は高く、特に限りあるサーバスペック、ネットワークレイテンシーの中でどう収めるかがエンジニアの課題になることが具体的に書かれている。抽象化された部分からでは解決できない、低レイヤ部分への考慮から始まりそれを実現するためのの実装につながる。幅広い技術知識を有する必要性も感じる。エンジニアが実際設計や開発する際に役立ちそうな、作法を載せていたり具体的な数値を使ってサーバ台数や処理スピードなどを算出している部分は、現場で是非真似してほしいとても重要なノウハウだと思う。

さらに企画やデザインの様々な要件課題を技術的アプローチで解決する。すべては可能にならないので、企画とのすり合わせでベターな技術的手法を探る。技術ドリブンではなく「ひとつの世界観を創り上げるための手法としての技術」の位置づけは、Webとは異なる部分かと思う。

ページ数が多く、技術要素も多岐にわたり、やや冗長な印象もあるが階層的に丁寧に説明を進めるので、必要な時に読み返しつつじっくり付き合うような本かと思う。読み終わればオンラインゲームの基礎概要はしっかり理解できるはず。

実際作ってみようかと思っている人にとっては「これを読めば作れるようになる」とまではいかないが、それなりに規模感のあるオンラインゲームをつくるのに必要な体制(チームづくり、人員配置、エンジニアのスキルセット)や予算規模(システム規模、収益計画)がイメージできるのではと思う。

筆者が冒頭に述べているように、ゲームがiPhone、スマートフォン、facebookなど様々なプラットフォームで提供されるようになっているので、今後ゲームはもっとコンシューマに近いものとして利用され、その数も増えていって欲しいと思う。

個人的に興味があるのは、Webのオープン性とゲームの閉鎖性のバランス。Webとゲームの境目は今後ますます曖昧になっていくのだろう。今まではWebはオープンであろうとしてきた、今後はゲーム的要素が入ってくると面白いコンテンツになるかもしれない。ゲームのようなストーリーを持たせることやレベルなどの差別要素、制限要素などはオープン性と相反するから、どこかで折り合いを付ける必要がある。やはりWebはオープンであろうとし続けるのか、ゲーム性によって新しい方向を示しつつより豊かになっていくのか、今後利用されるアプリケーションのオープン性とゲーム性のバランスはどのくらいなのか。とても興味がある。

しかし、どこかで見たサーバプロセスの構成図、サーバや帯域の算出方法、懐かしい思い出に浸ってしまう。良い経験の思い出。

iPhone, facebookをプラットフォームとしたソーシャルゲームの広がりが進み、Webとゲームの境目が曖昧になってきている今この時に、オンラインゲームの技術的な解説がされているこの本が出ることの意味は大きい。

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