メタバース案件が増えている
ここ数ヶ月でメタバースを活用した新規事業のアドバイザー案件の問い合わせがいくつかあった。
内容は、検討段階から既に事業化して開発着手前のものまで幅はあるが、軽い調査レベルではなくて、本気の事業化前提の検討な印象。
2022年の後半に入って問い合わせが急に増えた。
企業のメタバース活用が現実的になってきた
状況としては先行投資的なところもあるけど、まず参入してみようというところもあって、メタバースが活用されるのはおそらく間違いない状況になったと実感している。
社内的には予算も確保できているようだし、資金的余裕のある企業は新しい事業投資先としての候補に位置づけているんだろうな。
企業の業態も幅があって、ITとの関連の低いところもあり、リアル店舗のメタバース化のような絵も描きやすいみたい。
2007年メタバース立ち上げ経験のおかげ
自分が2007年に立ち上げたメタバースがここに来て再燃して、あの時よりも現実的に広まりそうな予感をさせてくれるとは、時代のめぐり合わせは面白い。
自分たちのアプローチが早すぎたとも言えるし、メタバースが一般レベルに活用できるくらいの諸々の環境が整ってきたとも言える。
何れにせよ自分の経験したことが15年経過してからスポットライトを浴びるのは、過去の行いが時間を超えて未来につながっているようで、映画「インターステラー」のパパになった気分。
立ち上げたメタバースについて
もうクローズしたけど meet-me というメタバースサービスを立ち上げた。
関連記事: 今はなき伝説の国産メタバース「meet-me」とは何だったのか? 当時を知るユーザーに話を聞いた
パートナーの開発したアプリを自分が作ったインフラの上で動かして、サービス運営したなぁ。
かなり無茶なスケジュールで、ハードなふるまいのできるメンバーが揃っていなければ難しかったかもしれない。偶然にもあのメンバーが集まれたのは良かった。
当時はクラウドがなくて、データセンターを契約して、機器やサーバーを買って、ネットワーク作って、オンプレをOSから数十台セットアップしなくちゃならなくて、その時間とか手間とか、運用コストがかなり大きかった。
外注にも手伝ってもらったけど基本自分一人しかいないので、環境が鍛えてくれたし、それを達成した経験が自信になって、その後の独立した際にとても役に立ったと思っている。
最初のうちはアプリが安定しなくてクラッシュが多くて、障害対応の頻度がが半端なく夜中に起きて対応したりしてハードだった。今の年齢で同じことはできないなぁ。
実績として大きかったのは、トヨタがメタバース内にパビリオンを作ったことかなぁ。
そこで新車発表会をするイベントをやって、イベント終了後にクライアントがクラッシュするというオチがついて、イベント中に落ちなくて本当に良かった。みんなヒヤヒヤしていた。
その頃のことは要望があれば改めて書いてみようかな。
メタバースで何を狙うか
企業は色々な目的があった上でメタバースを活用しようとしているけど、その目的がちゃんと達成できるかがそもそもの大きな問題。
マネタイズ
プラットフォーマーにならない限り厳しいと思う。
NFTを売ることができるようになれば良いかもしれないが、プラットフォーム次第なポイントなので、メタバースのメジャープレイヤーがはっきりしない現時点ではなんとも言えない。
バーチャル店舗
企業にとっては、これが一番現実的なのかもしれない。
年中開催している万博のパビリオンみたいなイメージで、いくらでも大きい物がメタバース内に作れる。
リアル店舗に来店してもらうイメージの延長。 3D化した商品を展示して、ユーザーに見てもらう。
店員アバターとユーザーがコミュニケーションして販売促進。 イベントを開いたり、リアルと連携したクーポンを発行したりとか。
PR・ブランディング
商品を売るためというよりかは、きれいな世界を描いてこれが我々の会社ですと見せる感じ。
会計上は宣伝広告費扱い。
本社受付周辺にある会社のブランドのアピールの展示物みたいな感じ。
リアルで作り込むとコストになるけど、3Dグラフィックで作る分にはそこまでコストが掛からない。
メタバースはリアルとネットの中間
メリットもあるけどネットとは違う特徴があると思っている。
基本リアルタイム
リアルタイムコミュニケーションが基本。
例えば、ユーザーAがその場所に移動したけど誰もいない。数秒前にユーザーBがいたけど移動してしまったので、ユーザーA,Bはコミュニケーションできなかった。となる。
メールやメッセージ機能はリアルタイムである必要がない。後から確認・アクションができる。
そういう意味で、コミュニケーションの機会損出が生まれやすい。
営業時間を設けて必ず店員アバターを居るようにするとか、あとは人ではないけどbot(ゲーム用語ではNPC)を設けて軽いコミュニケーションはできるようにしたり。そういう保管する仕組みは用意できる。
ちょっとした不便さがリアルを感じる
単純に何かを調べるならブラウザで検索したほうが早い。 買い物もAmazonでポチポチしたほうが早い。
じゃあなんでメタバースでやるのかと言われれば、ちょっとした不便さや煩わしさがあるからよりリアルに感じられる。
リアルな世界の要素があるから没入感が得られやすい。 夢中になりやすい。
アバターはユーザーの分身なので、バーチャルだけどその向こうには人を感じることができて、よりリアルなコミュニケーションになる。
ブラウザが対システムなら、メタバースはアバター同士の人対人の世界になる。
オリジナルか巨人の肩に乗るか
オリジナルを作るなら世界を作れるけどコストがかかる
ゼロからメタバースを作ろうとするなら世界をすべてコントロールできるので、自由度は高いけど、やっぱり簡単に作れるものではないので、コストはかなり掛かるし世界観をちゃんと設計しないと失敗する。
課金対象は土地、家、アイテム、機能(ワープできるとか)あたりかな。
ユーザー同士(アバター同士)のコミュニケーションを活性化させたり、再訪率を上げるようなことを狙うことになる。 コミュニケーションがベースなのに過疎っているとユーザーは離れてしまう。
ただ、バーチャル店舗として機能を落として単純化するならいいかもしれない。それはメタバースというより単なるVRにアバターが居るだけ。それなら開発にそれほどかからないだろう。
おそらくゲームユーザーがアーリーアダプターになる。meet-meの時もそうだった。 バーチャルでのコミュニケーションやアバターの遊び方に既に慣れている。
巨人の肩に乗る
どこかのメタバースを利用する立場なら参入は早いし、コストも掛からない。
けれども何ができるかはプラットフォーム次第なので、企業が参入するかはそこの利用規約含めよくよく調べたほうが良い。(利用規約もいつでも変わっちゃうけど)
まだ現時点ではMetaは一般向けにまだリリースしていないので、どういうものなのかわからないけど、既にサービス提供しているところも含めて、まだ「メタバースならここ」というところがわからない。
どこのメタバースにするかは今はなんとも言えない。
基本的にはプラットフォームが儲かる仕組みになるはずなので、肩に乗ってもマネタイズは目的にしないほうが良いと思う。
一時的なブームにならないために
2006年頃の日本でのセカンドライフのブームは広告代理店が仕掛けて、意図的に膨らませられたものだったので、セカンドライフに乗っかった企業は結果的に失敗に終わったかもしれない。
今はVRからの流れがあって、マシンスペック、回線スピード、開発環境が実現可能になっているので、広まりやすい。
ただ、ブームに乗るだけなら1年で終わる。投資回収もならないし、何も残らない。
参入検討されている企業の方々は一時的な流行りに乗るのではなく、他ではできない「何か」を意識して事業開発していただければと思ったりします。
書いたことが誰かのお役に立てればです。
ということでお仕事募集中です
メタバースに関連するコンサルティング・アドバイザーをやります。
もしご相談あればコンタクトフォームからいつでもご連絡ください。