つれづれスタートアップ#2 ベンチャーナウ連載


今回もベンチャーナウに連載していた第2弾の文章を紹介します。

例としてあげているデータは2013年執筆時のものなので古いのですが、全体として述べている内容は今でも通じる普遍的な内容になっていると思います。

はじめてのスタートアップ創業者を目指している方に参考になればです。

2013年時点での私の考え方のとして読んでいただければ。


スタートアップの時間軸

スタートアップはゼロから事業を創りだして成長しエグジットを目指します。

エグジットは他の企業に株式を売るバイアウトもしくは市場で株式を売る上場になります。

では、エグジットまではどれくらいの時間がかかるのでしょうか。またどれくらいの時間を見越しておけばいいのでしょうか。 結構この問は根本的なものだと思っていますが、実は余り考えていなくて進めている創業者も多い気がしています。 最初のテーマとして、スタートアップの時間軸について考えてみたいと思います。

スタートアップとはどれくらいのチャレンジ期間になるのか?

成長には時間のパラメーターが必要です。

例えば年間売上12億円、1000万ユーザという目標を立てた時に、それをまさか30年かけてやろうとは考えないでしょう。 また、スタートアップは失敗する可能性の高いリスクの高いことなので、自分の人生において現実的にチャレンジする期間や家族の状況などを考慮したくなると思います。

以下の表は、エグジットした名前の知られている企業の設立時期、エグジット確定時期、その期間をまとめたものです。

会社名 設立 エグジット 期間
Google 1998/09 2004/08 上場 5年11ヶ月
Facebook 2004/02 2012/05 上場 8年3ヶ月
Evernote 2007/09 2013/12 上場予定 6年3ヶ月
Instagram 2010/03 2012/04 Facebook へ売却 2年1ヶ月
ウノウ 2005/02 2010/08 Zynga へ売却 5年6ヶ月
リブセンス 2006/02 2011/12 上場 5年10ヶ月
エニグモ 2004/02 2012/07 上場 8年5ヶ月
ノボット 2009/04 2011/07 mediba へ売却 2年3ヶ月

これらから、アメリカでの上場は条件が厳しいこともあり、そのレベルまで成長するのに時間がかかる。設立から6年以上かかっています。

日本での上場は5年以上、バイアウトの場合は早くて2年です。 取り組む時間はこれに加え、会社設立前の準備期間があります。 また、2年以内の早期のバイアウトの場合は、その後の事業の成長に創業者を強くコミットさせる条件が付くと思うので、買われた会社を辞めれないロック期間を2から3年と見ると、5年以上はかけているといえます。

上場の場合も同様で、上場したから辞めれるわけではなく、実際Googleの二人の創業者は設立から15年目を迎えています。25歳で始めて今39歳です。結婚や子どもなど人生の大きなイベントはその間にいくつも迎えているでしょう。

これらの時間は思ったよりも短いと思われた方は少ないのではないでしょうか。スタートアップの創業者がある事業に取り組む期間はそれなりに長いと言えます。

エニグモの創業者が辞めて次のスタートアップをやる!といったお知らせが出て、IR的にダメじゃないか!と指摘している人がいました。エニグモのエグジットは決して早かったわけではないことが上の表からも分かります。

創業者からすると8年以上(準備期間も含めれば10年半のようですが)も1つのことにかけてきて、やっとエグジットまで辿りつけたので、もう次のことをやりたくなるのは理解できることだと個人的には思います。

全力疾走を強いられるゴールの見えないマラソン

スタートアップを始めるということは、リスクの高い世界で長いチャレンジに生きていこうと思うことから始まるのではと思います。

私自身の体験で言えば、1回目のスタートアップの時はこの時間の感覚を完全に誤っていました。2年程度の非常に短期のエグジットを想定していましたが、事業に取り組む期間や事業そのものの成長スパンはもっと長く考えなければいけなかったと今になって反省します。 エグジットはゴールではなく、さらなる成長の可能性があるから魅力的になるわけで、だから買ってくれる企業が現れてバイアウトが成立するように思えます。

「短期でのエグジット != 短期で終息する事業」だと痛感しています。

記事にのるスタートアップの資金調達やバイアウトのニュースはとても華々しく見えますが、長い取り組み期間をがあることを知るとそこに至るプロセスには多くの労力があり、今までの積み重ねの上にようやく立てたことだと思えます。

スタートアップは、よく早い成長、すごいスピードで進むような印象ですが、スピードが速いからと言って、ぽっと出したものが1,2年程度でぱっと終わるようなことは決してない世界だとこれらの数字が教えてくれます。 全力疾走を強いられるゴールの見えないマラソンのような感じでしょうか。

Evernote CEO フィリップ氏はWeb連載で「10年必死に働き、1円ももらえなくてもやりますか?」と言っています。

この意図は、スタートアップという長いチャレンジに対する覚悟を説いています。 その事業に10年情熱を注ぎ続けることができるか。自分の志(こころざし)がそこまであるか。という問いかけは、取り組む前に自分に問いただしてみることを是非おすすめしたいと思います。