スポーツビジネスに関するセミナーに参加してきました。
開催しているのは バンタンスポーツアカデミー。
バンタンは ドワンゴが2014年11月に買収した 専門学校ですが、おそらく唯一スポーツビジネスに関するセミナーを開催しているところです。 今までに私が出席したセミナーでいえば、Jリーグクラブ、スポーツメーカー、ベンチャー企業などスポーツビジネスの最前線にいるプレイヤーたちの話が聞ける貴重な場です。
(他にこのようなセミナー実施しているところをご存知な方がいらっしゃれば、是非教えて下さい。)
今回はJリーグのアジア戦略につていです。 【サッカービジネス】: 「Jサッカービジネス最前線!Jリーグのアジア戦略について」 というタイトル。
恵比寿にあるバンタン内の教室へ。いつもの倍以上参加者がいる感じ20名くらい。
聞けて本当に良かった。Jリーグが具体的に何をしているのか、アジアに対してどうアプローチしているのかは情報としてほとんど出てこないので知らなかった。
具体的にやっていることが分かったのが収穫。思ったよりもしっかり取り組んでいて、しかも状況としてはアジア内のJリーグの評価は非常に高く追い風であることも分かった。
ざっくり言うと、日本だけ見ていると暗くなるけど 成長しているアジアの中で追い風を受けて “アジアNo.1” のポジションを取れば未来は明るい と思った。
以下、メモと聞き終えてから思ったこと。
講師 : 山下さん Jリーグアジア戦略担当、株式会社Jリーグメディアプロモーションアジア室長
Jリーグのアジア戦略
日本と世界の差を痛感しながら仕事している。どうやってJリーグを国際化するか。アジアのため。
今日のゴール: よくわからんが、ワクワクしてきた と思ってもらえれば。
Jリーグ現状 52クラブ、37都道府県
Jリーグ社会貢献活動
- ブータン 412枚、モンゴル300枚 サポーターから集めたユニフォームを渡してサッカー教室をやっている
- タンスに眠っていたものが場所を変えると価値になる
- こんな活動をしているのはJリーグだけ、クラブが独自でやるのはある。リーグがサポーターに呼びかけてやっているのは初
- 東ティモール、車で行ける最後の場所でも竹で作ったサッカーゴールがある、世界中でサッカーが共通
- タイの難民キャンプ 4年、サッカー教室と読み聞かせ、大人はキャンプから出てはいけないので働いてはいけない、夢が描けない、子どもにキャンプを出て働く力を伝えたい
- タイ 東日本大震災の時にタイが募金活動して支援してくれた。2012年アユタヤ洪水の時にお返しした。直接10個の学校に配って何に使ったか報告させた。サポーターから預かったお金なので
- 国際交流基金xJFAxJリーグ 2020年までに国のお金でやろう JAICAxJFAxJリーグ
- 国がサッカーの力を気づいてお金使ってくれと言っている
- サッカーはすぐできる、知っている。野球はルールの説明から入る
日本経済界とJリーグ
- 経団連 提言 昨年
- 国家ブランドの構築に向けた提言 “ジャパン・ブランドを強化し世界とともに成長する”
- 公益社団法人 Jリーグの積極的な活用なども考えられる。(提言内唯一の固有名詞としてJリーグ)
- 朝日新聞、日経1面にJリーグ、アジア戦略 出るようになった
- 2015/04/16 議員と官僚200名位に対して村井チェアマンが話をした
- 議員にとっての地盤に影響与えやすそう、今後47都道府県に広げる
世界から見たJリーグ
- テレビ放映 提携アジア9カ国、テレビ放送世界70カ国
- ヴァンフォーレ甲府がはくばくがローマ字になったのも世界を意識したもの
- 日本の3倍見ている人がいる、スポンサーに説明できる
- 実は世界中の人がJリーグの試合を見に来ている
- 香港から40人くらいで試合観に来る、浦和レッズファンとして、観光の一環としてサッカー観戦、浦和レッズは知らなかった
- スコットランド系オーストラリア人がマリノスにいる俊介見に来た。J2もみていた
- 地方に行ってくれる、観光地でないところに行ってくれる
- Jリーグがバルセロナより優っているもの
- 山形のおじさんサポーターが昇格を決めて感激して涙できる、アイデンティティを感じている。この年で涙することない
- テレビでバルセロナの試合を観て泣くことはないだろう
- セレッソ大阪が残留を決めてお母さんと子どもが抱き合って泣いている。そこまで感激できる。スポーツが持っている力
- 涙も笑顔も 全て私たちの “価値”
Jリーグ
- 1993年 開幕 10クラブ 8府県、2013年 20年 40クラブ
- 最初の20年は日本全国へ 次の20年は?
- 放送権料、スポンサー料、人が減っていくと減っていくだけ 第三の矢が必要
- アジアではJリーグ一位、プレミアは30倍
- プレミアの売上 ほとんど放送権料、アジアの国が42%払っている
- プレミアは世界をマーケットに衛星放送で配った。儲けて選手に高い給料払える。良い選手が来る
- 今後もっと売り上げ上がる
- 毎年2000億円以上がアジアから欧州へ流れている
- Jリーグの強み
- 弱かった: ASEANに比べて短期間で強くなった。Jリーグ作った時くらいからWカップ常連国になった
- 歴史が浅い。アジアにいること。
- 短期間で成長させるノウハウがある。アジアの各国にコンサルできる
アジアへの戦略
- 日本だけをマーケットしない。日本人ではなくアジア人として捉えるとアジアは人口伸びている、GDP伸びている
- アジアはVIPがサッカークラブや協会のポストについている。お金持っているけどノウハウがない。コンサル行けるのでは
- アジアのお金はアジアのために、お金30億売上見えていたけどタダで配るようにしよう。全部アジアへタダで出してしまおう
アジアと共に成長するモデル
- 現在 アジアのマーケットでJリーグは大きい方
- 5〜10年後 アジアマーケットを大きく、Jリーグのマーケットも大きく
- 日本のJリーグから日本+ASEANのリーグ 6倍の人
- VIPに会った
- 払うと言われたけどタダで、ありがとう、何をお返しすればいい?と聞かれる
- ビジネスネットワークをJリーグのスポンサーしてる企業に紹介して欲しいと答える。企業x海外
- さらなる地域活性にJリーグ
- 人が減って国内企業スポンサー増えない
- 活性するためにアジアを作る。地域名をチーム名を入れる。海外から地域に興味を持ってもらってもらえる
アジアへのアプローチ方法
- 東南アジアが日本サッカーに浸透、Wカップ応援
- マリノス育成ノウハウ提供、マリノスのスポンサー企業をオーナーのネットワークから現地企業を紹介する、ギブテク
- マリノスのスポンサーしているITベンチャーがオーナーの紹介で現地法人にメール配信サービスを売り込んだ
- マリノス育成ノウハウ提供、マリノスのスポンサー企業をオーナーのネットワークから現地企業を紹介する、ギブテク
- 今まで広告採算価値が測れなかったが、場所を変えると価値が生まれる
- セレッソ大阪 ヤンマーが帯の農業重点拠点の農協のトップに売り込む、セレッソ大阪サッカー教室してヤンマーのお金で奨学金U14に入れてあげる
- タイのパナソニックxガンバ大阪ブース通常の2.2倍売上が上がった
- Jリーグチームをきっかけにスポンサー企業と現地VIPとのコネクション、信頼関係をつくっている
アジア戦略担当
- 最初はJ’sゴール運営受けていた小さな委託会社から思いついて提言
- 最初受け入れなかった、カンボジアにユニフォームを考えついて行った帰りにタイの試合を見た。現地の偉い人が会いにきてJリーグの可能性を感じた。やっていくと見えてきた
- 2012.01アジア戦略室作った
- 現在 4名
聞き終わってから思ったこと
アジア戦略の取り組みが個人的な発想から生まれていたのが意外。動き始めたのが遅かったらアジアでの評価もよくわからないままで危険だった。
国内の減少傾向はどうしようもないことなので、むしろアジア視点で成長する方法を見越していかないと未来はない。この割り切り方は共感した。 アジア戦略の取り組みが間に合ってよかったという感想。
アジアの中でのJリーグはかなり尊敬を集めている。それを力にアジア進出をはかれば成長が見えてくる。 確かにワールドカップに出れないアジアの国々はあるわけで、出場常連国の日本を応援するのは新しい視点からの発見だった。
PRに使えばいいのに
アジアでの評価の高さやリスペクトを集めている現状を国内にうまくフィードバックしてアピールできていない気がする。 他国から見られ方は結構日本人は気にするし、”アジアで最も成長したリーグ” というキーワードは国内の誰にでも刺さるはず。
J’sゴールが廃止になり良い写真が見れなくなってしまっているのは残念。見せていただいた写真はとっても良かったので、Webサイトなりスライドショーの動画なりを作って見せるだけで、Jリーグならではの力 をPRに使えると思った。
もし可能であれば slideshare などで今回のスライドを公開するだけでも良いアピールになると思う。
アジアへのアプローチはまだ弱い
タダでノウハウを出すからスポンサーの顧客となるような企業を紹介して欲しいというスキームは弱い。 スポンサーのアジアにおける市場開拓の助けにはなるけど、現地での売上が確実に見込めるわけではない。ネットワークの先にある人なので、別に断っても問題ない状況。間接的な貢献の仕方でお金が動きにくい。
Jリーグのノウハウがほしい人からの直接的なメリットがない。
Jリーグクラブのスポンサーになれるような人紹介してくださいなら分かる。これには国外資本の受け入れが条件として必要だけど、現状って緩和されていた気がする。そこまで踏み込んで良いのでは。
これからへ
収益を増やすには放映権をしっかり売ることが必要だが、アジアの土壌があるので広げやすいだろう。 あとはクラブ自身がもっと稼いてアジアNo.1のビッククラブを目指すこと。それには資本が必要で国内企業を集めるでは頭打ちだろう。アジアの評価を追い風にアジア富豪たちの資本をクラブに入れてもらうのが早いし可能性も高い。
Jリーグの現状はアジアから見ると思ったほど暗くはない、だが今そのメリットを十分活かせてない。まだ緩い。 今後より大きく大胆に行動する必要がある。アジアでの高い評価を追い風にクラブの資本力を上げることに注ぐべき。
アジアのトップリーグ = Jリーグ となるように。 アジアトップリーグのポジションが得られれば、放映権も売れる。