営業活動の経験が少ない自分にとって、自社サービスを説明する際に効果的な方法を身につけたいと常々思っていた。 リーンスタートアップ関連のスライドで紹介されていて読んでみることにした。
単なる商品の売り込みではないアプローチを取りたかったので、ちょうど良い本に巡り会えた。
「営業術」とタイトルにあるが、主に会話術について述べられている。
筆者は実際に営業に同行し商談の場を観察し、得られたデータをもとに解析、結論を出している。 単なる論文ではなくデータにもとづく結果を示している。 商談が結果的に契約に結びつくことを成功と定義して、成功に結びつきやすい会話の過程・要素を示している。成果につながるアプローチは何かを示してくれている。こういった成果につながるアプローチが示されていることがとても貴重。
個人的には営業と聞くと、売り込みと長い商品説明のイメージがあり、顧客の都合に合わせないかなりネガティブなイメージがあった。 しかし、この本の本質的な部分として まず顧客の課題ありき というスタンスをとっていることがとても良いと思った。
大型商談では、古い営業スタイルではなく、客の抱える問題の大きさを掘り起こし、ニーズを最大化することに注力している。客のニーズがあって初めて成り立つことがとても明確に示されている。
一方的に商品の特徴や利点をアピールすると成功率は下がる。その商品が解決できる問題を見つけて育てるための質問ができれば成功率は上がる。
まず顧客の問題点を見つけることは、リーンスタートアップの課題発見からスタートすることと一致する。売り込みではなく、課題があるかどうかが最初に問われる。商品の利点や特徴があれば売れるわけではなく、顧客の抱える問題点を解決するからこそ大きな金額であっても買ってくれる。 このことは個人的に今後のふるまい方に自信を持って取り組める、大きな後ろ盾になった。
SPINは有名な営業メソッドで大手外資系はこぞって採用しているにもかかわらず、日本ではこれらの手法を活用した営業に出会うことは少ない印象。もっと営業は成果を得られるためのアプローチを探求する必要があると思う。
商品説明や営業活動に指針がなく、我流でなんとなく行っている方にとてもおすすめな本。