OpsDeliver というサービスをローンチしました


OpsDeliver というサービスをプライベートカンパニーの株式会社シェイクソウル ShakeSoul, inc.からローンチしました。

OpsDeliver

サービスURL: https://opsdeliver.com

会社のプレスリリース: ワンクリック数分でサーバアプリをインストールする「OpsDeliver」をリリース

どんなサービスか一言でいうと、

“サーバアプリをワンクリック数分であらゆるクラウドにインストール・セットアップすることができるサービス” です。

サービス概要

コンセプトは “手作業に比べてコストと時間を10分の1に”

リモートからサーバアプリケーションのインストールとセットアップを自動的に行います。

ユーザがやることは、まっさらなサーバを用意してWebからワンクリックするだけ。とても簡単です。

インストールできるサーバアプリは WordPress, EC-Cube, Redmine, Zabbix など(https://opsdeliver.com/apps) で、今後どんどん増やしていきます。

料金はアプリを1デプロイ(インストール・セットアップ)するためにスポットで購入します。料金はアプリごとに異なります。料金の詳細は https://opsdeliver.com/apps から各 App をチェックしてください(要、サインアップ)。


会社のプレスリリースに端的に一般的な情報を載せていますので、以下には個人的な思いや今後の展開の仕方など、ちょっとディープな部分について書いてみたいと思います。

No クラウド・ロックイン

OpsDeliver は今までのクラウドサービスとは異なり、ユーザに対してクラウド・ロックインしない、“No クラウド・ロックイン” という新しいスタンスをとっています。

その背景を説明します。

IaaS は飽和した

AWSに代表されるクラウドサービスは国内事業者も提供していて、IaaSは多くの事業者から同じような内容のサービスが提供されています。 サーバOSのレイヤまで提供するサーバサービスとしては、IaaSの他にVPS、専用レンタルサーバ、従来からのオンプレミスもあり、ユーザは多くの選択肢から様々な理由で思い思いに選んでいる現状があります。

ユーザは十分な選択肢があり、各社はコスト競争に入っていることから、IaaSは飽和したと思っています。

ユーザは選択肢が多いことから1つのIaaSに依存せず状況に応じて選択するようになっているので、サービスとしてもIaaSに依存せず、あらゆる選択肢があることにメリットが得られるようユーザに提示したいと思っています。

サンフランシスコ・シリコンバレーあたりでは bitnamiのアプリをいろいろなプラットフォーム上で動かすことができることと同じかと思います。(でも、bitnamiのマネタイズは自分たちのホスティングクラウド上での課金なので、結局ユーザを縛っていて、その点が異なります)

No クラウド・ロックインを促進する波と DevOps の革命

あと今インフラ周りの技術革新が起きつつあり、その理由や背景を考えると No クラウド・ロックインは必然になってくると思っています。

昨年辺りからインフラ周りで新しいツールが注目されています。Chef, Vagrant, Docker です。

これらのツールはサーバOSやクラウドに依存しない環境を促進するツールで、まさに No クラウド・ロックインを加速させるものです。

特に Chef は DevOps の考え方を具体化した素晴らしいツールで、今まで人の手に頼っていた部分をコードに変えることができます。

インフラエンジニアたちにとってこれらは革新だと思います。これからはソフトウェアエンジニアと同じように、コードを書いて管理してサーバを構築管理する業務が主になっていくと思われます。

システムは Rails + Chef

システムの中身を少し紹介すると、OpsDeliverは Rails + Chef でできています。

Chef は今まで人の手に頼っていたインストール/セットアップ作業を、自動化する素晴らしい DevOps なツールで、個人的にもレシピを作って検証環境やサービスのProduction環境用として使っていました。

今回のサービスはこの Chef の良さを、サーバの知識がない or 手作業が手間だと思っている方向けに Rails によって作られた簡単なWebUIで利用することができます。システム的にも DevOps になっていると思います。

Chef の部分は Berkshelf、サードパーティ Cookbooks やちょっとカスタマイズした knife solo などを使っているのですが、細かな点はまた後日紹介できればと思います。

ビジネスモデル

Slideshare にアップしています。

サービスが産まれた背景やターゲットとか、将来的にApp提供をオープンにしてプラットフォーム化することなどを載せています。

OpsDeliver Serivce Info, Business Model from Hiro Fukami

現状はサーバアプリをこちらが用意してユーザはそれを買ってデプロイしていますが、今後オープン化してインフラスキルを持つエンジニアが自分のレシピを登録できるようにして、様々なサーバアプリが登録・販売できる “App Storeのサーバアプリ版” になっていく予定です。


ここからは、サービスづくりに対してどんなことを思っているのか。なぜ OpsDeliver に取り組んだのかについて述べます。

時間ととコストが10分の1になればイノベーションが起きる

OpsDeliverのコンセプトは “手作業に比べてコストと時間を10分の1に” ですが、だいたい今までの10倍くらいの効果が出せればイノベーションが起きると思っています。

例えば、人間が走る速度は4km/hですが、10倍の40km/h出せるものは自動車になります。距離もマラソンの42.195kmが人間の限界だとすると、自動車は満タンで400km以上は走れるでしょう。

自動車は間違いなく歴史に残るイノベーションで人間の生活を変えました。

OpsDeliverは、1時間以上かかっていた作業を5分以内で、1エンジニア1時間3万円だったところを千円台から提供しています。10倍以上の効果がイノベーションとなることを期待しています。

“魔法の杖” を作りたかった

いつもサービスアイデアを考える時にイメージしていることは、ユーザにとって “魔法の杖” のようなサービスでありたいということでした。

単に”はやい”、”安い”ではなくて、今まで要していた苦悩(pain)を一瞬で解決できる。サービスを使ってみた後に「ワオ!」と言ってくれる、そんなサービスにしたいと思ってきました。

OpsDeliverは今まで何時間もかけてトライ・アンド・エラーしてやっと動いた or 動かせなかった、と苦労していた人が、ワンクリックするだけで数分で終わらせることができます。

世界展開

サービスアイデアに対して、これは取り組むべき価値があるか?を考えて実際取り組むかどうか決めるのですが、その時に日本だけでなく世界で同じように使えるかどうかをとても意識しています。

日本の法律や文化の依存度が高いサービスだと他国で同じように展開することはできないので、そのサービスの伸びしろとしては日本の市場規模がMaxになります。

その規模の成功がOKであれば良いと思いますが、せっかくインターネットが世界中をつないでくれているし、世界に対していつでも示すことができる環境があるので、日本以外にもいろいろな国で使ってくれることを狙ったほうが、市場規模も大きいし何しろ “世界をより良い方向へ変える” というスタートアップ創業者の使命みたいなものを体現できると思っています。

OpsDeliverは、言語の依存がないサービスです。”サーバアプリのインストール・セットアップは手間だ” というのは世界共通のはっきりしている課題です。その課題に対してシンプルに解決することができていれば、世界中で使ってくれて日本市場以上に大きく成長するだろう。そういうことを狙っています。


ということで、今回は単なるサービスリリースのお知らせではなくて、はじめてサービスに対する思いの部分まで語ってみました。

そんなことを考えながらサービス作っている人がいるのね。みたいに知っていただければ幸いです。 あと、OpsDeliverで是非ユーザ登録(無料)を。今ならユーザ登録すると、WordPress最新版を1デプロイできる券を無料で付与しています。

あと、OpsDeliverのサービスの方向性やこういった考え方に共感していただいた方がいらっしゃれば、一緒にサービス作りたいと思っていますので、是非連絡ください。

Related Posts

長沼公園 - お気に入りの場所

Flutter in_app_purchase で定期購入を実現する方法 2023年版

ペップのビルドアップ UEFA Champions League Final

テクニカルアドバイザー仕事が終わったのでまとめ

Amazon で Kindle とペーパーバックを作るやり方

[思考]老いへの許容

「ひとりスタートアップ」が本の形になりました

2022年を振り返る

ハードウエアのWeb化

本を書きました「ひとりスタートアップ」