土曜日になぜか嫁+娘+その友だちをディズニーシーから車で家まで送迎するための運転手として18:30からディズニーシーに入った。
特にアトラクションに乗りまくろうという感じでもなかったので、ゆるりと夜のディズニーシーの様子を観察してきた。
より客観的に見たことで色々発見したことがあったので、つらつら書いていく。
チケット代に対する印象の変化
入る前 : 割高
ディズニーパーク(ディズニーランド or シー)のチケットは大人1日で¥6200、子どもでも¥4100。土日は15時からのパスでも¥4900。
今回は 18:30 から入って4時間しかいなかったが¥4900かかった。料金を最初見ると高いなぁと思った。
帰る頃 : 高くはない
帰る頃にはこれが不思議と高いと思わなくなっている。とても不思議な体験だった。
その理由はいくつかあると思う。
ディズニーシーだけでも広大な面積で、これだけのアトラクションやショーをいくらでも乗り放題。 あとは、ファンタジーの世界を十分に味わえる設備、スタッフ、演出の質。 設備を動かす電気代だけでも相当掛かりそうだし、数多くのスタッフにもコストがかかる。1日満喫して¥6000程度で利益はそれほど出ないかもしれないと思う部分も出てくる。
レジャーにかけるお金としては1万以下なら、まぁギリギリ許容範囲かとも思ったりしてくる。
これらを考えるとチケット代がこれだけかかってもしょうがないかなと不思議と納得してくる。
ファンタジーの世界への観光旅行
帰りがけに誰かの会話が聞こえて「外国に行っても体験できない」と言っていた。
確かに、飛行機も乗らずに都心から1時間程度で凝縮した時間と空間を味わえると考えると観光代よりも安いと考えることもできる。
一般的な観光旅行は飛行機に乗ってしまえば万単位だし、広い街にそれぞれ離れたスポットを回ると移動時間もかかる。
一方、ディズニーシーは敷地内に凝縮してアトラクション、レストラン、ショップがあり、移動の時間は少なく楽しめる。
目にするものすべてがファンタジーの世界観で作られており、ファンタジーの世界への観光旅行 をするために¥6000かかると思うと一般的な観光旅行より割安に思える。
この上ない治安・マナーの良さ
あともう1つの発見は治安、マナーの良さ。
小学校4年生くらいの子ども2名だけ歩いている姿も見た。実際はどうかわからないがカツアゲもなさそう。 渋谷へ小学生だけで行くのは危険だが、ディズニーの中なら大丈夫という判断もしているのだろう。
都会では考えられないくらい良いマナー
あれだけ混んでいても移動する際に自分だけ先に行こうと割り込んだりする様子を見かけないし、自分もそういうことはふさわしくない場所だという意識が働く。これも不思議な感覚だった。
スタッフの数は以前に増して多くなったかなと思ったが、それでも全てに目を行き届かせるのは不可能。来場者自身のマナーへの意識がないとあの安心感は作られない。
どういう要因が正しくあるべき意識を作るのか考えた。
ファンタジーの力
1つはファンタジーの力が大きいかと思う。正義、愛、仲間など悪に対峙するための正しき要素がすっきりと描かれる世界観がそのまま来場者に伝搬している気がする。
来場者は、ここはいつもの場所ではなく特別な場所なんだと認識する。では、どうやって非日常の空間を来場者に強く認識させるか、その手法は何かが気になってくる。
ファンタジーを演出する
考えるに、来場者の五感すべてにファンタージーが伝わるような演出の仕方があるのだと思う。一番大きいのが視覚。目にするもの全てが非日常の世界になっている。
上を見ても電線や配管は見えず、見たこともないような壁、大きな洞窟、湖。レストランにしても置いてあるアイテムひとつにしても違う。
視覚の効果が高いからあまり味としては良くもない割高なメニューが許せたりする。
聴覚を刺激する音も2番めに大きい要素。火山が時々噴火したような音と煙を出す様子や常にディズニー映画で使われるような音楽を流しファンタジーの世界観を作っている。
熱狂的なファンを作る
非日常の異空間であるファンタジーの世界に浸りきれるから熱狂的なファンが作られる。リピーターどころでなく、浦安の近くに住んで年間パスポート買って仕事帰りに行ってしまう人もでる。
ユーザ体験をコントロールする
ユーザが体験すること全てをサービス提供者側が意識して提供すると、健全な世界観が生まれるということか。熱狂的なファンも作れる。
これはサービスづくりにとってとても重要なポイントになりそう。実際アップルは全てを握りたがる。他会も意識しているが突出してやっているところは少ない。
アップルもディズニーも最高のユーザ体験を提供するために全てを握ろうとするスタンスは提供物は違えど同じに見える。ジョブズが作ったPixarはディズニーと一緒にトイ・ストーリーを作った。この共通点も要因の一つに見えてくる。
ディズニーのゲストに対する接し方や考え方は数多くのビジネス書でも解説されているし、外部へのコンサルティングを行うディズニー・インスティテュートを持つほどだから、やはり突出したものがあるのだろう。
今回得られた教訓
やっぱりユーザ体験をコントロールすることを徹底すると独自の世界観が生まれやすいことがわかった。
そのためには細かい配慮が必要となってくる。実際ディズニーシーにはごみがほとんど落ちておらず、ユーザの目に入るものすべてを意識している。 目にするものすべてが何か、どうあるべきかがわかっていないとできないこと。
そこまで突き詰めるからこそ、ファンが作られリピーターが生まれるのだろう。
サービスづくりにもつながる教訓だった。