バタバタしてなかなかタイムリーにお知らせできなかったが、先週末の5/8-10で行われたクラウドコンピューティングEXPO2013春で国内MBaaSである Kii Cloud について語って来ました。
いろいろな角度から感じたことがあったので、雑感としてあげておく。
発表したスライド
Kii Cloud の紹介の内容ですが、MBaaS とIaaS/PaaSなどとの比較もしてあるので、概要理解には使えると思います。
MBaaS の認識度
- とても低い、ほとんどが知らない。実際アプリを開発するエンジニアでもほぼ100%知らない。
- 知っていた人は大手通信キャリアと電機メーカーで研究開発や新規事業を検討する部署の方。認識度は概念までで利用イメージまではあまりわかってない様子だった。
- SDKを使ってクライアントアプリのコードに仕込むとか、Web上で作成されたデータオブジェクトがグラフィカルに見れる。とか実際どう使うのかのようなことはほとんど知らない様子。
- 他のブースでは BaaS について語ったところもあるようだが、日本国内では BaaS 自体もサービス提供されていないと思うので、サービス提供者としてプレゼンできたのは Kii だけだったようだ。
- 加えて、Kii 株式会社自身の認知度も同じようになかった。
MBaaS の反応
- 実際アプリを開発される方へは非常に好感触だった。サーバの考慮がいらなくなって楽になることが何よりメリットに感じているようだった。
- コストは最後に質問で必ずされた。FREEからと伝えると驚いていた。Parseと同じ料金体系だけどそもそもMBaaSを知らないからイメージが付かないのだろう。
- MBaaS も Parse も知っている方で、サービス内容にビジネス戦略的なものをいれるかという質問があったが、面白い視点だなと思った。基本的にフリーミアムだしターゲットはアプリ開発者になるので、プラットフォームとして純粋に機能提供するスタイが当たり前だと思っていた。ある程度エンタープライズも狙うならそれなりの料金体系に加えて、あるAPIの仲介をしてそこに課金をするみたいなこともあるかな。
クラウドコンピューティングEXPOというイベント
- 想定はしていたが、エンタープライズ色が強くスーツ族が多い。
- 無料の大規模イベントにありがちだが、働いていないだろうリタイアされて時間つぶしで来ているおじちゃんたちもそこそこいる。
- 最近、来場者パスが職種ごとに分かるようになったので見分けられたのだが、SI以外にも営業、情シス、人事なんかもいるのがエンタープライズ色が強い印象をもたせているのかも。開発者もそれなりにいる。
- 大手企業が大きめなブースを出すようになったし、SaaSからハード寄りなものまでラインナップも充実したイベントとしてすっかり定着した感がある。逆に言えばある一定規模以上にはいかない成熟期に入ったとも言える。
- 通路を挟んだ向かい側で行われていたスマートフォンEXPOの方がカジュアルな来場者で人数も多くなった気がする。大きなブース出展がなく、中小がかこつけも含め出している感じ。モバイルファースト時代に入ったことが人の流れにも現れているなと思った。
- 次回のスマートフォンEXPOに大きめのブースを出して注目度を高めたら、MBaaS の必要性から一気に広めることができるなと予想した。
- たいしたことではないけれど、イベント主催会社の開催までやり方を見ていると営業色が強過ぎちゃって相変わらず渋いなぁとw
コンパニオンにチラシ配らせる方法はもう古い
- 大小様々なブースがひしめき合っている状況の中、来場者へアピールするためのアプローチ方法はもう何年たっても変わらずにみんな同じ事を繰り返しているが、もう古いのではと思った。
- 昔ながらの手法
- チラシを通りすがりの人にひたすら配る。お金があるところはコンパニオンにそれをやらせる
- ステージでプレゼンして、色々なメリットを伝えつつ最終的には売りたいサービスの紹介を行う。お金があるところは、喋れるコンパニオンを司会にして、合いの手を入れたり、用意した原稿を喋らせたり
- 壁にパネルを張りその前にデモできる環境を用意する
- この様子を見て思うこと
- みんな同じようにチラシを受け取らせようと思うので、基本受け取らないようになっている。出展内容に興味があればチラシを自分でとる。
- そもそもサービスの内容を知らないコンパニオンとコンタクトを取ろうと思うのは、違う目的になってしまっている。
- 発声のきれいな喋れるコンパニオンの話は聞きやすいが、本質的にサービスのバリューは用意された非の打ち所のない原稿で伝わるのだろうか。ライブ感や知識・経験のあるプレゼンターの言葉だから納得感が出るのでは。
- 結局みんな同じ事をやっているので、同じ事をやると大企業に負けるので埋もれてしまって存在感を出せない。
- 実際やってみたこと
- Kii Cloud を使った Android アプリを即興でブース内で作ってもらって、「ライブコーディング中」と貼りだして、エディターを外付けモニターに映し出した。チラシを渡す際「今スマホアプリのライブコーティングしています。良かったら見ていってください」と言った。すると、「スマホアプリ」というキーワードに興味のある人が気づいてブースまで来てくれる。興味のない人は全く反応しないので、ターゲットのみ効率的にリーチできている実感があった。
- ブースではエディターで書いている様子を見せて Kii Cloud がクライアントのコード内で指定すればいいことを知ってもらって、作っているアプリを使ってデモした。ほとんどの人は知らないので、理解度が一気に高まった様子がわかった。
- 今後やってみたいアプローチ方法
- ブースに一緒にいた人と思いついたのだけど、ライブコーディングでアプリを作る様子をひたすら繰り返すイベントのような形式にしたらどうだろうと言い合った。
- 1時間枠で簡易版LINEとか簡易版SNSとかのお題で、その場でコーティングを始めて簡単なアプリを作る。その様子を解説する人がいて Kii Cloud の使い方とか機能とかの説明を補足する。質問があれば周辺にいるスタッフに聞いてもらう。
- ライブ感も出るし、そのサービスを実際どう使って何ができるのかが一目瞭然。なにしろ本質的にいやらしい部分がなく、ターゲットに純粋にバリューを届けやすい。
その他
- この手のイベントの費用対効果は結構厳しそう。大型のブースだと300万円以上だろうし、チラシ印刷、パネル、ドキュメントの準備印刷などなど入れると、結構掛かる。それを昨年実績で10万人近い来場者があるらしいが、ブースでしっかり話を聞いてくれるのは1%ないだろうし、その中からユーザになってくれるのはもっと低いと思うので、獲得ユーザあたりの単価は結構高い。
- 最終日17時以降いっせいにブース解体のために作業員がバラしに入ってきた。意外なことに女性の作業員が10%くらいいて、確かに耐震性を求めないブースだから扱えるのかもしれないけど、いわゆるガテン系にも女性参加が進んでいるんだなぁと感心した。そういえば、学生時代警備員のアルバイトをした時にも土砂を運ぶ大型トラックのドライバーに結構女性がいた時と同じような感覚だった。