勝つ組織 – 佐々木則夫、山本昌邦


なでしこジャパン監督 佐々木則夫氏と日本代表コーチ、オリンピック代表監督経験を持つ、サッカー解説者 山本昌邦氏との対談形式の本。

佐々木則夫氏はサッカーを通じて実績十分な方だし、山本昌邦氏はサッカーに対して新しい視点や知識を与えてくれる最もためになる解説者だと思っているので、興味深くこの本を買った。

勝つ組織 (角川oneテーマ21)

読み始める前にこの本が前提としてることを知っておいたほうがよさそう。

  • この本はリーダーに求められる要素を2名に話してもらっている
  • ビジネスマン、特に大企業のような役職によるピラミッド構造が明確で大きい会社のマネージャ職の人を読者ターゲットにしている
  • 文章の構成は2人の対談のように見えるが、おそらく話すテーマや質問を投げかける役割の人がいて、その人のリードのものと話しているだろう
  • 二人の話は読者ターゲットに対して、自らの経験を元に会社組織だったらこう適用できるだろう、という視点で話している

なので、2人が対談しているようで、実は話が噛み合っていない、呼応せず一人がしゃべって、もう一人が同じようなことをなぞっている。ような箇所が多い。話もサッカーを通じて得てきたノウハウ・思考を正確に伝えるのではなく、「会社組織だったら・・・でしょう」となるべく読者ターゲットの環境に照らし合わせるような表現をしている。

もちろん、リーダー像として、部下に対しては命令的な態度はもう20世紀のはなしで、21世紀は個性を尊重して個人を輝かせるスタンスなんだ。とかかなり重要なノウハウや考え方が随所に散りばめられている。

こういった重要な箇所をもっと掘り下げて議論したり、エピソードを紹介しあったりしたら面白いだろうなぁと思ったのだが、割りとさらっとお互い同意して次のテーマに、という感じを受けた。

無理に会社組織に照らしても、サッカーで実績を出されてきたので正直説得力に欠ける。それは読者自身が自分の環境と照らし合わせて考えればいいので、サッカーの側面に偏ってもいいから、もっとコアな議論をしてもらいたかったなぁ。

お二人は実績、知識、人間性が十分ある方だと思うので、存分に発揮してもらいたかった。もったいない本。

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