リーンスタートアップという考え方は、シリコンバレーでは当たり前の手法としてすでに浸透している。日本ではやっと始まったかなという感じ。かと思う。
リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
スタートアップはほとんどが失敗する。
ほとんどの創業者が、情熱を持って素晴らしいと思っているアイデアを実現すればきっと成長できる。と思っていてもやっぱり失敗する。
今までよく言われていた「とにかくやってみる」ではやはり成功できない。誰も使わないものを出してしまう。膨大な熱意と時間をかけても無駄になってしまう。
実は、会社を大きく継続的に成長させる方法を実は知らなかった。ということだった。
「不確実な世界でどうやって成長させることが出来るか」という根本的な問に対して、筆者のエリック・リースの体験を元にした理論を説明している。
文章構成としては、よくある理論解説書のように、理論説明、事例紹介、カテゴライズ定義を各プロセスで記述している。
自分なりに理解している概要としては、
- 創業者の思い込みを完全に捨てて、アーリーアダプターにMVPを見せる
- 仮説 – 検証 の繰り返し
- 正しい計測方法
で、とにかく「・・だろう」「・・にちがいない」のような創業者が情熱の範疇だと思っていた部分を、顧客側に委ねて修正していくという考え方。
そのために顧客の反応を敏感に感じられるようにしておく。
実際に創業者がこれを読んで明日から実践できるかというと、ちょっと難しいと思う。理論的な説明はあるが、How to に関しては、事例の紹介でとどまる部分もあり、結局どうすればいいのかわからない部分もある。オペレーションに落とした時に不明確な点が幾つかある。それは他の本や自分なりの答えで埋める必要がある。
- イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
- イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)
- アントレプレナーの教科書
- ザ・トヨタウェイ(上)
- ザ・トヨタウェイ(下)
- プランB 破壊的イノベーションの戦略
- Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)
あたりを読んで補完すると良いと思う。
あと、メーリングリストに参加すると、リーンスタートアップを実践する上でどんなことでみんな悩んでいるかが分かる。
http://www.leanstartupcircle.com/
実践する際にいつくかの疑問が出てきた。
- アーリーアダプターをどうやって見つけるか
- 潜在的なニーズが深いサービスには適用できるのか
- MVPはどの程度の詳細度を満たすべきか
- 事例の中では実際動くものから、紙で書くレベルまで結構幅がある
- トラッキングシステム or ABテストツールの導入コスト(金銭的&時間的)をどう考慮するか
- やっとモバイルのテストツール専用サービスが出てきた段階
- Google Analyticsで足りないくらい詳細なトラッキングが必要
これらはやりながらまた他の本を読みつつ、明確にしたところ。
また、本には書いていないが、考慮したほうが良い点は、
- 投資を入れている際は、ピポットする可能性があることを投資家と同意しておくこと</p>
- たいてい創業者はどんなサービスか、どう成長できるかを投資家に説明しているはず
- ほとんどの投資家は説明されたサービスが成長するかどうかで投資判断するはず、途中で変えられてしまうとは思わないはず
- シード段階では、投資された金額は500万〜1000万だろうから、6〜12ヶ月の間に成果を出さなければならない、ピポットのチャンスは1回から多くても3回程度だろう、ピポットを判断するまでの期間は最短でも3ヶ月はかかると思う
- リーンスタートアップの手法をとったとしても時間的猶予は変わりない
- 投資金額 = 残りの時間、にさせないためには投資を受けずに生活費を稼ぎつつチャレンジする方法になる。とても有効な方法だと思っている
リーンスタートアップを実践するには十分ではないが、考え方の概要を把握する、取っ掛かりの本としては良いと思う。