テレビでコマツが世界規模での販売やサーポートを展開しているグローバル企業として紹介されていて、そんなイメージが今までなく結構意外に思った。あるブログでこの本を紹介していて、コマツが世界的に展開する際の視点やノウハウをもっと知ってみたくなって買ってみた。
- 作者: 坂根正弘
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2011/04/09
- メディア: 単行本
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コマツ 現会長 板根氏が長いコマツの社歴の中で経験したことを交え、世界の中で勝負するために何を考えてきたかが分かる。
読んで気づいたことは、世界で展開するためには割り切りが必要で、日本標準もしくは常識と思われがちな基準を一度捨て、世界的な基準に変えていること。具体的に文章内では以下のような実践があった。
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2010年春から新入社員の研修に中国語の授業を取り入れ</p>
- それまでは英語の研修だったが、今時の学生はTOEICでも高い点数をとれるので
- 子会社を1.5年で300社から110社減らす
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他国と比較しての日本の強味と弱味を把握している
- ものづくりにおける日本の力は突き抜けており、アメリカとは比べものにならない
- 生産技術者を日本でじっくり育て、世界の工場に送り込むのが早道
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社内システムを独自システムから汎用ソフトに一本化する
- 仕事のやり方をシステムに合わせる
- これからはアジアの時代
これらの根幹となる意識の持ち方で、日本の現状を指摘している文章があった。
少子高齢化などさまざまな背景がありますが、私は「日本人の誰もが傍観者になってしまっている」ことが根本の理由に思われてなりません。
日本の現状にある程度の危機感は持っているものの、明確な処方箋が示されないので、何をどうすればいいかわからず、呆然と事態を見守っている、という感じでしょうか。
「グローバル企業」という何となくなイメージで進んでいるわけでは決してなく、世界を舞台に競合や市場を相手に実践し続けてきた成果と実績が確かにあり、この実践主義がコマツをグローバル企業にしていることがわかる。やはり実践しながら進めていくことでしか前進はありえない、ということをコマツは示してくれているのだと思う。
文章としては事実に基づいて意外とあっさり書かれている。もう少し深い考察や洞察、論理的な解説があると、読者が他の場所で試してみるような、普遍的動きが作りやすくなると思うけど。その点が唯一残念な点で、内容は実践的なのでとても参考になった。
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