スポーツ選手がこの本を読んで試合に臨んだら結構良い結果が得られた。というような話を聞いて買ってみた。
- 作者: 林成之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/21
- メディア: 新書
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最近脳についての本が多いが、人間の指向や感情を科学的に捕らえられたら、より効率的な手法があるのではないか。という興味もあって読んでみたいと思った。
メンタルがパフォーマンスに対する影響はかなり大きく、今まで経験則的にパフォーマンスに影響を及ぼさない振る舞い方を覚えてきたが、もう一つ理論づけられた手法として体得してみたい気はしていた。それが体得できればもっと効率よいパフォーマンスができるだろうし、同じ時間の中で影響力がより高められたらそれは自分にとってとても良いことだと思っている。
この本では脳内の「意識」「心」「記憶」の具体的なメカニズムの解析から始まって、勝負に勝つための勝負脳としての具体的tipsの紹介まで行っている。tips紹介の部分は今まで日本人の中に強く残っている「気合いでなんとかする」「猛練習こそがうまくなる秘訣」のような根拠のない精神主義のようなものが完全に否定されたものになっていて、この部分でも読む価値は高い。
勝負脳をうまく使うためのtipsを自分なりに解釈してまとめると、
- 目的をはっきりさせ、それを達成するための具体的手法をイメージする
- 最初から100%集中する
- 相手の攻撃してきたときが攻撃のチャンス
- 相手の長所を打ち砕く
- 相手と自分の状況を客観的に見る
- ネガティブな発想、話をせず、ボジティブなものだけを思い浮かべる
- 最後までゆるめず集中する
- 呼吸、姿勢、発想を整える
こんなところだろう。
このtipsの根拠となる脳内の科学的な振る舞いの解説が論理的に薄いが、それぞれのtipsは結構的を得ていると思った。
特に最初の具体的手法はその通りだと思う。何のためにこの練習をするのか、そのためにはどんなことをすれば良いのか、とか結構基本的なことなのにそれが理解せず、一方的に与えられたものを行っていることはよくあるのではないか。
この本を読んで以降、スポーツの見方が変わって結構面白い。今まではただ早いとかうまいだけの印象だったのが、実況を見ながら選手の心理的な部分を「今こういう意識になっているのかな」と想像しながら見るとより選手側に近づける気がしている。
ただ、この本の活用は筆者が述べているように、スポーツに限ったことではなくて仕事や生活の場面でも十分利用できることだと思う。
まだまだ、ビジネスのシーンでは変な精神主義やパフォーマンスの低いことに対する淘汰が進まずに放置されてしまっている場が多い。より高いレベルでのパフォーマンスのせめぎ合いのような場がもっとできてくれれば、この本のtipsの有効性を実感できるだろうし、最終的にはもっと仕事をすることが面白くなると思っている。
現状はまだこのtipsを使わずとも許されてしまっているビジネスのレベルがあるのは確かかと思う。
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