- 作者: 井深大
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1995/03
- メディア: 文庫
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本田宗一郎の「やりたいことをやれ」のレビューを書いたら、それを読んだパートナーさんがこの本を貸してくれた。ありがとうございます>Oさん
内容は本田宗一郎が亡くなった後に、もっと本田宗一郎の実績が評価されるべきとの思いから親友だった井深大氏が書いた本。
ソニーの創業者とホンダの創業者がこんなにも仲が良いのは知らなかったことなのだが、二人とも技術者でありやってみなくては分からないというベンチャー指向があったりして、単にビジネスの昔話とは片付けられない面白い内容になっている。
基本的には本田宗一郎と井深大との思い出話や対談内容の紹介になっているのだけど話題は経営的なものはほとんどなくて、新しいものへの取り組み方とか遊びとか考え方のようなものの紹介になっていて、この二人がどんな思いや考え方をしていたのかが分かる。
自分の中で日本の大企業の創業者や経営者というのはひとくくりにしていた部分があって、みんな同じような考え方や振る舞い方を好んでいるような印象を持っていた。が、この二人のやり取りを見てみると古くささや右にならえ的な変な集団主義の発想がなく、むしろ技術に対して単純にチャレンジしてその結果よい製品が生まれて売れた。というすごく単純な思いでやってきていて、それは今でも十分に通用するというよりむしろ必要とされているところかと思う。
二人の対談の中で、アメリカの能力主義への現状から「日本も終身雇用なんてことは、いっていられなくなると思う。」という言葉があってかなりビックリした。この対談は1966年で、40年以上前から現状の終身雇用崩壊を示唆していることになる。自分が1990年代に思い描いていた会社員=大企業=終身雇用のイメージはすでに崩れていたのか、という認識の違いからも2重にショックだった。
ともあれ、二人の対談や文章からエンジニアとして新しいもの、世の中にないものを追求し続け、実際作り続けることこそが、会社の原動力であり最も大事にしてきたことが分かる。
今のネットを中心とした数多くの小さなエンジニア会社を40年も前の実績から勇気づけてくれることは間違いない本になるといえる。
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