JTPAシリコンバレーカンファレンス 帰国報告会に参加してきました
id:katsu8 の呼びかけでJTPAシリコンバレーカンファレンス参加者で帰国報告会がひらかれ参加してきた。SVCからもう3週間以上が経過していて、参加したみんながそれぞれ何らかの動き出しを始めているだろうし、振り返るにはちょうどいい時期だったと思う。
そういう自分の目的は
- 自分の中でまだもやもやしている短期的、中期的な身の振る舞い方を確信にすること
- みんなのSVCに参加して、何を考え何を思ったか。と何をし始めたか。を知ること
だった。実はまだシリコンバレーから帰ってきて、自分なりの今後の行動(自分なりの戦略といったほうが良いかもしれない)が明確に描ききれずに悶々としていた。だから帰国報告会でこの悶々としているものを払拭する場にしたいと思っていた。
振り返ってみれば、この2つに対してはある程度達成できたと思うのと、さらに
- 仕事のスタンス(ShakeSoul のビジネスとしてのスタンス)を再確認して、確信できた
- 参加者間でビジネスぽいアプローチがいくつかとれた
ことは予想外の収穫だった。
結果的にあまり確信が持てていなかった思い切った戦略案を進めてみようと思えたし、今まで自分が ShakeSoul を通じてやってきていたアプローチは間違いではなく、今後の戦略につながる良い過程を歩んでいると思えた。この戦略については別エントリーでまとめたいと思う。
全員がどう変わったかは分からずとも、個々に色々考えそれなりの結論を出して前を向いて進み始めていることが分かっただけでも参加した甲斐があった。そうやって考えながら前を向いて進む姿は触発されるし、それは世代とか学生だとか社会人だとかは関係なく影響を与えてくれる。もやもやしている自分はきっとこの参加者の話を聞けば触発されるだろうと思っていたが、やっぱり触発されて元気になれた。参加者メンバが集まったときの力は本当に大きいと感じる。
やっぱり思うのが自分を材料に自分のフィルターを通して、自分でどうするか考える、ところまで詰めないと自分は何も変わらない。というより行動として何も示せないので自分に変化を起こすことはできないだろうと思っている。逆にその人自身を通じた考えた過程が見えないと、あまり触発されない=結構どうでも良いこと と思うようになっている。
そういう意味で、参加者のほとんどが自分をフィルターを通した言葉で自分の行動に対して話していたのは良かった。だから、id:Spiny-anteater が思い立ってアイデアをプレゼンしたのはよかったし、自分を材料にした意見をくれる人が参加者には多いのだから、その中で今後ブラッシュアップして良いサービスになれば素敵だと思う。あと、id:toyo213 が参加者メンバに呼びかけてプロジェクトをスタートさせたことも素敵なことだし、そこに自分も入って手伝い始められたこともうれしいこと。
そういう自分も SVC 参加者とサービスを作るべく議論を進めつつ、少しずつ形にできてきていることも参加者メンバに何がしかの影響を与えられることかと思う。
ところで、SVC参加前の1回目の事前ミーティングと同じで実感するのが、やはりこの参加者たちはスキルが高い。とうこと、どういう点で高いと思うのかというと、
- ネガティブなことを言わない 常にポジティブな雰囲気を持っている
- 自分の考えたこと、意見、やっていること、やりたいことを明確に持っている
- しっかり話して伝えることのできるコミュニケーション能力
- 専門分野について知識が深く、よく考えている
- 今現在取り組んでいることがあって、漠然と生きていない
こんなことを感じるので刺激が多い。社会人はコンサルタントもエンジニアもいるし、文系学生も理系学生もいる。メンバは若干流動しながらも常に30名くらい集まっているだろうか。なかなか普通に過ごしていてはこんなメンバは集まれない。
このメンバで会社を作ったらすごいことができるかも、と思ったことがあるが、緩やかなプロジェクト単位で現に始まっているので、やりようによっては冗談ではなく行けそうに思う。
このメンバでサービスを作ったり新しい自分の動きの紹介をしながら、鮮度よく刺激し合う関係を継続できるのが良いのだろう。自分としては最も触発され、刺激を受けるこのメンバとの関わりを大事にしながら、自分自身もまた触発された結果をフィードバックして鮮度を保つ力になっていきたいと思っている。
自分に取ってシリコンバレーカンファレンスは1日限りの出来事だったが、その周辺に生まれたものは確かに大きく価値の高いものになっている。
パラダイス鎖国
実は JTPAシリコンバレーカンファレンス2009に参加する前に読もうと思い、行きの飛行機に乗る直前まで書店を探したのだが売っておらず、結局帰ってきてからネットで注文して読んだ。
本も読まずにシリコンバレーでは海部さんと懇親会でお話ししていて、実は大変失礼な状態だったのだがブログは読んでいるのでご愛嬌ということで。
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
- 作者: 海部美知
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/03/10
- メディア: 新書
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「パラダイス鎖国」というキーワードのイメージする通り、日本はパラダイスのように住みやすく過ごしやすい国になったが、同時にグローバルな世界と疎遠な鎖国状態に陥っている。という主張をしている本。
本の前半の5割ちょっとの文章は経済指標などの数字を用いて歴史的に日本がパラダイス化/鎖国化してきた背景を説明している。数字に対する分析内容や結果から著者の考え方は若干うかがえるが、特にこれといった強いインパクトもなく淡々と状況分析している。
この本の価値は後半のシリコンバレーという特別な場所の様子/考え方/文化と著者自身が様々な経験を通じて得てきた生き方/振る舞い方としての主張が出てきてからかと思う。この部分が自分にとってはシリコンバレーに行ってきた経験やインターネットを中心とした生き方の模索と重なり合って、共感や更なる模索や生き方のヒント与えてくれた。
本書の中に戦略的パターンとして「シリコンバレー型試行錯誤方式」が出てくるが、従来日本人が得意とする「プロセス効率化重視」ではないこのやり方こそが、唯一日本が 脱パラダイス鎖国化=開国 するために必要な解決策として提言している。この「シリコンバレー型試行錯誤」を転職を重ねながら実現してきたように思う。今 ShakeSoul を作ったことでもっとこの試行錯誤が求められるような状況になっている。何となく自分の判断でやってきたことがつながり定義づけられたことで、自分の方向性の再確認ができた。
日本にいながら実現するためにネットを活用することを提案している。言い方は違えど、梅田望夫著の「ウェブ時代をゆく」のエッセンスと同じであり、文章としてはよりか噛み砕いて具体例を用いて分かりやすい示し方をしている。
シリコンバレーから帰ってきて思うのは、まだまだ日本のビジネスの現場には「混沌とすることを恐れる」「議論を望まない」「プチ変人を受け入れない」などの部分が根強く残っていると感じた。残っていると言うよりかは経験にしがみつき発想の転換が図れていないと言った方が正確かと思う。
日本にいながらこういったアプローチが本当にどこまでできるのか。ネットを使って英語を学びワールドワイドな活動と視点を手にいれて働くことが可能になるのか。本書ではいくつかの具体例を挙げているが新しいアプローチに対して確証はない訳で、これはこれを読んだ人が本書の提言をヒントとして模索しながら何かをしていくしかないのかと思う。
これからシリコンバレーと継続的にどう関わろうかと考えていた自分に取っては最後の方に出てくる「軽やかなグローバル化」というのは短期的な目指す姿として大変参考になった。
シリコンバレーから帰ってきてこれからを悶々と考え続けている自分にとっては決めていくためのいいヒントをもらえた。
</div>シリコンバレーの環境としての魅力
環境といっても会社の環境は他のエントリーに書いているので、ここではシリコンバレーと呼ばれる地の地理的情報や町の様子などを書いてみたい。
シリコンバレーに暮らす日本人の方に「なんでシリコンバレーに住むんですか」と若干真面目に聞いてみても、「お天気がいいから」と返されることがしばしばだったが、実は結構まじめな答えかも。と思うほどシリコンバレーは天気がいい。
シリコンバレーという地名はないがサンフランシスコの南からサンノゼ手前くらいのエリアが該当するのだろう。地名で言えば Palo Alto, Mountain View, Los Altos, Sunnyvale あたりかと思う。
これらの場所に行ってみて感じたことを一眼レフでもないデジカメで撮ってきた写真をあわせつつ並べると、
-
とにかく天気がいい</p>
- からっと晴れていて日本の夏のようなジメジメさがない
- とにかく空が青い
-
とにかく空が広い
- 高い建物がない ビルも3階建てまでの低層 住居も2階建ての一戸建てがほとんど
-
緑が豊富</p>
- ちょっとした公園もこんな感じ
- 町並みがきれい
- 区画が広々取ってある
- 芝が濃い緑色をしている
-
建物が映画に出てくるようなかわいらしいきれいなデザイン
- モダンな一戸建てはない
生活するのにデメリットなところは
-
車がないと成り立たない</p>
- 近所のお店に行くにも車
-
ファッションは期待できない
- おしゃれな服は売ってないし、着ている人も見かけない
-
コンビニがない 小さなスーパーマーケットやドラッグストアはあったが コンビニは見事にない
- 田舎生活を決めるならいい割り切りかも
-
お店が閉まる時間が早い 21:00 には大体しまってしま
- 早めに切り上げて夕飯に行かなくては
というところだろうか。
こん詰めたり嫌なことがあったとしても、この天気のもとに出たらそんなことも忘れられるくらい強烈ないい天気だと思う。
こういう最高なお天気の田舎町でハイテク産業が生まれたりベンチャーが爆発的な勢いで成長したりするアンバランスさが、また一つシリコンバレーの魅力かと思う。逆にこの最高なお天気が救ってくれるからこそタフなゲームをできるのかもしれない。会社がこんないい場所にあったら会社に行くのが楽しくなるかもしれない。少なくとも東京のコンクリートジャングルよりかは精神衛生上は良いはず。
純粋に自分もこの最高なお天気にすっかり魅了されて、近いうちにまたこのお天気のもとに戻ってきて、出来れば何らかの仕事で絡めたらいいな、と思っている訳で。今まで仕事内容とか成功を求めて仕事をするような動機だったが、町並みとか天候とか普段あまり気にしなかった要素が先行することもあるのだなと自分でもちょっと驚いている。
シリコンバレーで働く時の形態について
シリコンバレーで色々見てきたり話を聞いたりして自分なりに分かったことをまとめる。正確ではないかもしれないが自分なりのまとめ。
シリコンバレーで働こうとした時の形態についてまとめておく。あくまで先端的なフィールドのエンジニアとして日本からシリコンバレーに行った場合の形態ということなので、現地大学を出て、みたいな想定はしていない。
大体いかに示す3パターンくらいかと思う。この中間とかその他の存在はシリコンバレーでは中途半端に見られて相手にされないというか、既に淘汰されてしまっている経験がこの地にはあると思う。
1.大企業
いわゆる有名どころ。Google, Yahoo, Adobeなど既に上場をして有名になっていて社員を多く抱えているところ。
現地のエージェント経由で試験を受けるのがスタンダードだと思うが、日本から行く場合は人づてに近いレベルでたまたまポストが空いたから受けてみた、というケースもある。
今は採用がシステマチックになっているので日本から直接行くケースがどれくらいあるか不明。日本法人からアプローチするとしての時間と手間がかかるので、現地の案件を探した方が良さそう。
入社すれば安定して働きやすい環境が用意された中で過ごすことができる。ストックオプションもいくらかもらえるらしい。ただし公使期間は4年で結構長い。
2.ベンチャー
ベンチャーに途中から社員として採用試験を受けてみる際には 1.大企業 と変わりないが、VCから資金を調達する前の時期は人づてで集めるので、人脈力を生かして創業者に近いポジションで入る可能性もあるかと思う。前提として現地の人との人脈が構築できていることが必要。
もう一つの選択肢として、ベンチャーを自分で立ち上げるなら誰にでも開かれた可能性かと思われる。アイデアが良くて VC がついてくれればそこからベンチャーとして exit に向けたゲームをスタートできる。
どちらにせよベンチャーに入る訳だから、変化に順応することとスピードが必要だし、最も失敗するリスクの多いパターンの中で働くことになる。
ただ、シリコンバレーの人が循環する仕組みの中に入れれば、次に生まれてくるベンチャーに入ることもできるし、日本と違い失敗しても汚点と思われずに経験を積んでいると思われるので、失敗したことによるデメリットはないと思った方がいい。
3.ライフカンパニー
自分で自分の会社を自己資金で作るので障害になることは少ない。ただ、企業形態として売り上げが爆発的に伸びて莫大な富を得ることはあきらめる必要がある。
働くフィールドに最も立ちやすいがその後にビジネスが展開できて、生活していけるかはまた別問題。
資金的にも自腹を切ることになるし、自分を中心とした人脈が作られていなければ売り上げを得ていくことが難しい。売り上げがなければ自己資金を切り崩して生活する必要があるので、自分の生活に最も影響が出やすい形態と言える。
これはシリコンバレーであろうが日本であろうがライフカンパニーであれば同じ。
番外編 : 大企業とベンチャーのエンジニアの給料
大企業とベンチャーにおけるエンジニアの給料は変わらない。駆け出し 800万、ちょっといって 1000万、シニア 1200-1500万という具合らしい。
違いとしては大企業は安定性、福利厚生の手厚さがあるが、ベンチャーはいつつぶれるか分からないので、不安定だがそのかわりストックオプションを付与する。そうすることで exit できた時の gain が期待できる。シニア級にあがるほど株数を多くするらしい。
基本的にはシリコンバレーのエンジニア採用は新卒とかの考え方がなく実力主義、実績主義。今までどこでどのくらいのことをやってきたかが基準なので、それがアピールできる必要がある。最近では Linkedin からコンタクト受ける方法もあるけど、現地のエージェントがコンタクトしているケースもあるので、どれくらい実践的に活用できるのか不明。
番外編 : シリコンバレーでは SIer はいない
いわゆる日本で古くからある Enterprise SI (NEC, Hitachi, IBM, CTC, 受託だけをしている会社 等々)はここに該当しない。
シリコンバレーはハイテク産業の生成地で、現状で言えばwebを中心としたインターネットサービスであり、先行投資的なのはバイオになる。だから今まである Enterprise SI の産業をわざわざシリコンバレーでやる意味はない。という方が正確かと思う。そもそも日本のような政治色の強い SI の手法はアメリカでは通用しないと思うが。
そういう意味では、日本で言う IT に古くから関わっている人のかなりの部分がシリコンバレーで働く形態にマッチしなくなっていることもはっきり認識しておいた方がいいポイントだと思う。
ITをフィールドとした日本とシリコンバレーの会社の違いについて
JTPAシリコンバレーカンファレンス2009に参加して帰ってきて何を思ったかというと、想像していた以上にITにおける日本とシリコンバレーの環境が大きく違っていて、その差は相当ついてしまっているなということだった。
実のところシリコンバレーの様子はニュースサイトや本などで情報は収集していてなんとなくは分かっていたつもりだったが、実際はまさに「百聞は一見にしかず」で全然分かっていなかった。ということが自覚してしまって、なおさら悔しいというかなんともいえない虚しさのような感覚がずっとついていた。
虚しく思っていても前に進まないので、冷静に異なる点をまとめて今後自分自身のスタンスや少しでもシリコンバレーを意識したい日本にいる方々に参考になればと思って書くことにする。
タイトルに IT と書いているが日本の Enterprise SI の分野はシリコンバレーではないので自社でサービスを作って BtoC で勝負しているベンチャーの世界という意味で使っている。
ベンチャーという言葉の定義の違い
日本でベンチャーといえば少人数で比較的若くって技術力がある程度あって、オリジナルサービスや製品を元に成長を目指そうというなんとなくなイメージに合致している会社を指しそうだが、シリコンバレーでいうベンチャーは全然違う。
シリコンバレーでいうベンチャーは単純明快に exit を目指している会社のこと。に他ならない。
exit(エグジット)とは上場(IPO)なり買収されることにより会社の資本(株)が現状よりもとても高く評価され買われて資本が爆発的に増えてそれを売り抜けること。それによって創業者は多額の資本を手に入れることができて成功者となれる。このバブルのようなゲームのゴールとして exit は存在する。
もうひとつの条件として exit を目指す = VC から資本を得る こと。初期であっても数億円程度のお金を VC から得て、それを元に自社のスピードを上げてどんどん exit に向けてまい進して行く。
- exit を目指している
- VCから資本を得ている
という条件がそろってベンチャーと呼べる。
逆にこの条件から外れる会社は ライフカンパニー と呼ばれ、自己資金や小額の資本を入れて経営していて、創業者が変らない、売り上げの伸び率の低い会社のことを指す。
そう考えると日本にある非上場でweb系でそれなりに有名な会社はみんなライフカンパニーだということになって、そもそもシリコンバレーのベンチャーとまったく異なる存在になってしまっている。
VC の存在感の大きさ
ベンチャーはまず VC から資本を得ることが条件だったが、シリコンバレーでいうこの VC の存在感は本当に大きい。シリコンバレーがこの不況下でも変化は求められるとしてもまだ exit を目指したベンチャーが消滅せずに RockYou のように意気のいいベンチャーがまい進し続けられるのも、VC ちゃんと資金を提供してくれるからといえる。シリコンバレーのベンチャーが挑戦し続けられる環境を提供している肝になっていると思う。
日本にも VC は存在するがおそらく以下の点で異なっているはず。
-
資金力の違い</p>
- シリコンバレーでは数百億円程度のファンドを持つ VC がごろごろいる。資金力は VC が判断される最初のパラメータで、この金額を明示するのは当たり前。日本で明示しているところはどれくらいあるのだろう
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人脈力の違い
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シリコンバレーの VC で最も強い点はそのベンチャーに必要な人を連れて来てくれること</p>
- 創業者の中でセールスの部分がなければ、セールスマネージャで副社長にいた経験と実績がありその人がいればもう数百件くらいの顧客は get できるよ。くらいの実力者をポンとすえてくれる。
- シリコンバレーでは trac record という経営クラスの人たちの今までの職歴、実績がプールされているらしい
- 日本に必要な人をアサインするほどの人脈力のある VC はあるのだろうか。それ以前に真の実力を見極めるすべは持っているのだろうか。
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シリコンバレーの VC で最も強い点はそのベンチャーに必要な人を連れて来てくれること</p>
-
会社を運営することのノウハウを多く経験していてそれを十分に生かしている
- exit のイメージを常に持ちつつ、短期的な方向付けを欠かさない
- 今どういうことをすべきかという提示を明確にしている
- それはお金、人、サービスの関連性から分析した結果を創業者メンバに指示している
- 助言という甘いレベルではなくやはり資本を提供し、exit することを目標にしている立場からは指示という言い方のほうが合っている
-
VC同士のネットワークが確立されている
- VC 同士のつながりが意図的に作られていて、お互いを助け合うことができている
- お互いが出資しているベンチャーを合併させたり、吸収(買収)させたりすることができる
- この不況下でもこの VC 同士のネットワークを生かして会社を整理できていることで、VC 自体もつぶれるレベルにならないですんでいる
ある意味創業者はアイデアと熱意とこのゲームに耐えうる人柄かどうかがあればあとは VC が用意してくれる。日本だと資金調達から人集め、セールス、資金のやりくりまですべて創業者がやらなくてはならず、本来サービスの成長に必要な開発やマネージメントに割く時間がなくなり疲弊して本来のスキルを発揮できないで終わってしまうケースに陥りやすい。
人の集め方、扱い方
ベンチャーは exit することが目標なので、人の扱い方もいたってシンプル。基本的に会社が望む能力や人柄かどうかかどうか判断のすべて。
会社としての機能は セールス、人事(でもせいぜい二人くらい)、エンジニア くらいしかなくて、日本によくある経営企画とかマーケティングの存在感は薄い。募集する職種は複雑化しない。
採用方法も論理性を主体に見たかったらテストを受けさせパスすればOK。入社後期待したパフォーマンスが出せなかったり、人間性に問題があればすぐ辞めてもらう。このすぐ辞めてもらう部分が日本では難しいと思う。ただ、首を切られたほうとしてもあまり悲壮感はなく、まぁしょうがないと思ってまた職を探すらしい。この部分はよき楽観主義 + シリコンバレーの人が循環する仕組み の中でうまく吸収できていると思う。
日本に残る感覚的な違い
その他こまごました感覚的な違いを並べてみる。
-
大金持ちになる = 成功 というイメージ</p>
- 日本では大金持ちになるとマスコミ含め周りからネガティブなイメージで見られやすい
-
エンジニアがすべてを作ることができるという感覚
- 実際作るのはエンジニアなので、シリコンバレーではエンジニアへの尊敬が強く、エンジニアが働きやすい環境を提供するのが当たり前になっている
-
会社への忠誠心
- ベンチャーとしてその会社のゲームに乗った感覚のほうが近いと思う
- 結局は会社は exit を目指した確率の低いゲームをしてる訳で、つぶれてしまうリスクも持っているから忠誠心など求められないし、そもそも必要ない
-
やることをやっていれば OK だし、だから勤務形態や態度の自由度が高い
- 昼くらいに出社しても問題なし、服装もジーパンOK(むしろそっちのほうが多い)、おもちゃを持ち込むこともOK
いろいろ書いたあとのまとめ
いろいろ書いてみたが、違いについては
- 資本
- 環境
- 考え方
のいろんな方面での差があって、シリコンバレーでは exit するための環境がシステマチックに整っていて、それが行われるためのシンプルな考え方で統一されている。だから会社を作ったけど何をしていいか分からない。ということはなくて、このシステムに乗っかってベンチャーとして資本を得たら exit 目指して走るだけになる。
根本的な差としては、日本の経済が弱ってしまって、上場による成功や IT ベンチャーに対する投資が成り立たなくなってしまったことがあると思う。結局、大きな環境面でシリコンバレーのような exit を目指すゲームはすでに成り立たなくなってしまっていて、シリコンバレーのようになろうというのは個人のレベルではもう難しくなってしまっているのは明らかかと思う。
じゃあどうすればいいかと思った訳だけど、やはり日本では資本の額が二桁くらい違うので二桁くらい下の規模で同じようなやり方を何とかがんばって小さな規模で作ってみることがせいぜいなものかと思う。
そうなると上場は exit としてはもう成り立たないので、事業売却のような小さな規模での利益を重ねていく考え方で、自分の会社の中としてはエンジニア中心の自由な風土を保つ。そう考えるとはてなとかカヤックが持っているスタンスがはまってきて、やはり 日本でいうところのベンチャー はそこら辺なのかなと思う。
ひとつ伝えたいことは、何を持って成功か ということであって、ライフカンパニーをするにしても、日本でいうところのベンチャーにいくにしても、シリコンバレーでベンチャーを立ち上げるにしても、日本だからダメという訳では全然なくて成功のレベルを個人としてどこに定めるかの違いだと思う。
自家用ジェット機が買えるような成功を目指すならシリコンバレーだし、自分力を最大限試してそこから得られる利益が本物の自分の価値だと思うならライフカンパニーを立ち上げればいいと思う(実は自分はこの考え方でShakeSoulを作った)。
今まではライフカンパニー(ShakeSoul)を作ってしっかり立つことを目指してきた訳だけど、シリコンバレーの成功を目指す強烈なゲームを目の当たりにして、やっぱりそのゲームに一度は乗ってみるべきだよね。と思ってしまっている今日この頃だったりしている。
# これはこれで困った話なので、戦略的な今後の計画に続けたいと思う
2009年の四半期について
2009年も3ヶ月が終わったところで、ちょっと振り返りたいと思う。
とにかくこの3ヶ月は今まで味わったことないくらいいろいろな大き目のことが続いていて、とても忙しいというかめまぐるしかった。
今後もそれくらいめまぐるしいことが起きるのかどうかは分からないが、今までの max であるとは思うのでまとめておく。
1月
- 退職まで残り1ヶ月 1月末トランスコスモス退職予定
-
meet-me でお付き合いのあった会社さんへ挨拶メールとついでに会社を作る旨を伝える 計20件くらい
- ついでにいくつかの会社を紹介いただく
- 2008年年末から続けている引越し先を正月明けから引き続き探す
- SVC09 参加者東京メンバと初顔合わせ1回目事前ミーティング参加
- そろそろリミットも近づいてきたので、思い切って新規一戸建てを買うことを決める
- 家の契約からローンの契約、引渡しまで2週間で行う
- 株式会社シェイクソウルの設立準備として定款作成、その他設立時に必要な書類作りを完了させる
- 定款 OK をもらう @公証人役場
- 家引渡し
- トランスコスモス退職 1/31
2月
- 2/2 法務局に会社登記 株式会社シェイクソウルを設立
-
今まで付き合いのある会社と紹介していただいたところへ会社紹介を開始
- この様子は会社ブログに書いてある
- 会社設立後に必要な申請のため書類を作成
- 丸1日かけて3箇所の役所を回り会社申請資料を提出
- タスクが多くなってきたので trac を自宅 PC に入れて管理し始める
- 娘の7歳の誕生日
- SVC09 東京メンバと2回目事前ミーティング参加
- iPhone Developer Group 懇親会に出席
-
SVC09 参加のための準備を始める
- 飛行機チケットを買う
- 地球の歩き方古本を買う
- 自分の 3/19-24までの過ごし方を決める
- 新居で必要な家具を洗い出し、引越し費用も含めた全体費用を算出
3月
- シェイクソウルの会社紹介を継続しつつ、案件提案を重ねる
- シェイクソウルでのパートナーを作りも継続して進める いくつかのサービスアイデアを固める
- SVC09 スーツケースを買う
-
3/15 購入した新築一戸建てへ引越し
- 天井にツッパれる本棚を作る with 義理弟
- ベッド作り 2つ with 義理弟
- フレッツ光ネクスト工事対応
- 3/19-25 SVC09 に参加
- 3/26 帰国した翌日に娘のヤマハ発表会に行く
- 久しぶりに愛三電機にLANケーブル造り用部材&工具を買いにいく
- 新居内の各部屋間LAN配線をする
実にめまぐるしい。。SVC09はもっと準備して望みたかった時間的にも無理だった。そのまとめはこれからじっくりやるとして、すぐにはちょっと手が出せそうにない。
新居購入、退職、会社設立、営業開始、引越し、シリコンバレーへ1週間行く、、、これだけよく詰め込んだな。こうなると一つ一つがおろそかになってしまうし、もう少し緩やかにしなくてはだった。
しかし逆に今年の残りの時間があっという間に過ぎないように、密度濃く手ごたえを感じながらやって行きたいと思っている。SVC09では最高の体験をしてこれたのだから、それを生かすためにも今年の残りの時間はより面白くしなくては。
JTPAシリコンバレーカンファレンス 当日メモリンク集
帰国してから数日たって、今まで大量にインプットしすぎてちょっとクラクラしていたのを解消すべく、二日間で一気にアウトプットした。とりあえずシリコンバレーに行っていた間の出来事については書き終えた。これから後は思ったことやシリコンバレーと日本の違いについて分かったことを書いていく予定。
JTPAシリコンバレーカンファレンス当日とその前後の会社訪問や梅田望夫さんオフィス訪問などは、実際の日付に back date して記述しているので、このブログのトップページを見ていても更新されていないように思えたので分からなかった。という話を聞いたのでリンク集としてまとめておく。
3/19
3/20
- 3/20 梅田望夫さんのオフィスを訪ねる – つれづれなる・・・
- 3/20 会社訪問 Transcosmos Investments – つれづれなる・・・
-
JTPAシリコンバレーカンファレンス前 今日得たことメモ – つれづれなる・・・
- 梅田望夫さんオフィスでのミーティング、Transcosmos Investments永倉さんとのミーティングを通じて感じたことをまとめたもの
3/21
3/22
3/23
まとめ
-
JTPAシリコンバレーカンファレンスが終わって 書くことリスト – つれづれなる・・・</p>
- なにを書きたいかをまとめたもの
これから記述予定 # 書いたもののリンクをあとで追記
JTPAシリコンバレーカンファレンスが終わって 書くことリスト
シリコンバレーの最後の夜。3/19-23までいろいろなことを聞いたり見たり話したりしてきて、書きたいことはたくさんあるがもう少し書き方を考えたいところもある。
なので、忘れないうちに書きたいことリストとしてまとめておく
- JTPAシリコンバレーカンファレンス2009に参加して
- 梅田望夫さんにお会いして話してきたこと
- シリコンバレーの環境としての魅力
-
各会社訪問
- PARC
- Adobe
- RockYou
- dropbox
- ITをフィールドとした日本とシリコンバレーの会社の違いについて
- シリコンバレーで働く時の形態について
- 今後の自分に何を生かすか 何をしていくか
このくらいだろうか。1つ1つはいろいろな刺激を受けているので、書けることもあるがそれプラス何を思ったか、何を考えたかもなるべく入れ込みたいと思う。全体を通じて考え方ことがつながってくればいいと思っている。
本当に魅力的な素敵な仲間にめぐりあえたことに感謝!!今後いろいろできそうな力強い人脈になった。
3/23 シリコンバレー会社見学 Googleplex
Google本社の見学会とその後の日本人エンジニアさんとのお話
Google本社は田舎町の草原の中にぽつんとある感じで、敷地の道路挟んで反対側は大草原。さらに会社が大きくなったらこっちにも建物たてれるぞ、という感じ。
広がる大草原 相変わらず天気がいい
信号に Google の文字が 普通通り名をかくのですが、さすが Google
敷地に入ると大学のキャンパスを思わせるように、いくつかの低層な建物が並び中央には中庭があってそこで飲み食べしてもいいし、ビーチバレーコート(ちゃんと砂が敷かれている)で遊んでもいい。
建物は大体2階建てで、ガラス張りなので外から中の様子が丸見えだったりする。
と思ったら、
CEOエリックシュミットがテレビのインタビューに答えているのが、ガラス越しに。
この後中庭におりてきて受付を通ったので実質、5m以内で見たのですがさすがに写真は失礼かと思って撮りませんでしたが、ラッキーでした。
受付を済ませぼんやり考えたことの廣島直己さんガイドのもと社内を見学。見れるところはフリースベースと無料のカフェと食堂くらいで、実際働いている場所には入れませんでした。
会社では過ごすのに必要なことはすべて用意されていて、すべて無料。一部ニュースではカフェや食堂は無料でなくなるとありましたが、見た時点ではそんなことはなかったです。
マウスやキーボードも無料で届けてくれる所もありました。確かに会社で壊れたら困りますが、本当にエンジニアが過ごしやすい環境を考えて提供しているのが分かります。
その後、昼食を食堂で食べながら日本人社員の方とお話できました。実際お話しさせていただいたエンジニアさんはその後中庭でのお茶までお付き合いいただいて、大変ありがたかったです。
食事の後はお土産屋でいくつか Google goods 買う。社員が来ているような T シャツはなく、ちょっとデザインがいまいちな感じ。
食事とお茶の時にエンジニアさんから聞いたことメモ
- ソフトエウアエンジニアは12人くらいのグループを組んでいる
- 個室ではなくグループ単位でまとまっている
- 基本的にやることをやっていれば自分の稼働は調節できる
- ここで働く人の割合は 中国が多く、インドがその次、日本人はすごく少ない
- やはりこちらで働くには留学して、ビザを得て入るのが大堂らしい
- ソースを commit する前に必ずシニアエンジニアもしくはそのプロジェクトのリーダとのレビューが必要
- 学歴は関係ないと言いつつ、意見を言い合う時には若干イニシアティブが出るらしい
- カフェのシェフは社員なので、20%プロジェクトもやっている ちゃんと数値化してこうか測定するらいし カフェ同士の競争もやるらしい
-
経済不況の影響でレイオフはあったが、エンジニアに部分には影響が及ばなそう
- ただ、新規採用はストップしているようだ
- Google Japan に行ったとしてもソースはいじれるので、日本戻りつつ仕事はできる
ここでもやはりエンジニアが働きやすい環境が提供されていた。エンジニア側から見ればこの至れり尽くせりの環境と安定した大企業であることが魅力になるのだろう。安定した大企業という感覚は日本の大企業に持つイメージと同じ。しかし、レベルの高いエンジニア同士が集まって世界的なサービスを次々生み出している感を感じるならばここにくるしかないのだろう。
ハイテクなイメージが強いが、実際のオフィスは非常にオープンで明るくて気持ちが豊かになりそうなお天気のもとにあるというのが印象的だった。
3/23 シリコンバレー会社訪問 dropbox
dropbox は2007年に RockYou と同じ Sequoia Capital から出資を得て、こちらもシリコンバレーのゲームに乗っているベンチャーです。確か2008年のどこかの優秀アプリケーションに挙げられていたような。。。
Windows,Mac,Linux対応のアプリケーションをインストールすれば dropbox ディレクトリ内の同期をしてくれて ASP 的共有ファイルサーバを使うことが可能。
ファイルサーバをリモートでスマートに使うすべが見つからず最後の砦のような気がしていて、最初これを使ったときはやられた~と思ったものです。今ではかかせない大変お世話になっているアプリケーションになってます。
場所はサンフランシスコ市内のビルの中。田舎町とは違い都会の中の雑居ビルという感じです。サンフランシスコ自体は都会的で銀座や新宿のイメージと同じです。底抜けに明るいお天気のもとお仕事するという環境では全くなかったのが結構意外でした。
エレベーターおりた目の前にボード
RockYouとは変わってスタッフは10名そこそこのようで、それほど広くない縦長のフロアに無造作にデスクを置いて黙々とコーディングするスタッフたち。
オフィスも狭いし、ゲームやら楽器やらが置かれている中で少人数でやっている姿は今まで見たベンチャーとは明らかに異質な感じ。しかもスタッフたちは強烈な個性をもったまさにギークな人たちのように見える。
本当に初期の少人数でゴリゴリとベンチャーやっている感が満載でかなり興奮しました。
この映っている範囲くらい+奥に会議室+手前に卓球台(やっぱりベンチャーのお約束なのか)がある
奥に人だかりができているのは今回お邪魔した日本人メンバたち
ちょっとした個室にワイドテレビにドラムゲーム、古びたピアノが置いてあった
これを見るだけでも楽しそう
オフィスにドラムとはこの時点でかなりぶっ飛んでますが、音楽好きらしい。時々弾くらしい
CEO の Drew が説明と質疑応答に答えてくれました。スタッフの数よりも圧倒的に訪問者が多くて、コーディングしている場所にそのまま20人くらい押し掛けて、その場でCEOと立ち話。
CEOが色々しゃべってくれている間も黙々とコーディングしている。気づいたのは結構近くで話していて会話の内容も丸聞こえの状態で、日本だったら “もうちょっと気を使って静かにしろよ” 的な顔をされがちだがそんなのおかまいなしでマイペースで自分のことを黙々とやっている。
こっちでは「空気読め」とかなく、自分は自分だから。と誰かが言っていたが確かにその通りと感じた。
ここら辺がアメリカ的感覚なのかもしれない。面白い話題だったら途中からでも会話に参加してまたコーディングに戻る、みたいなスタッフのスマートな対応も結構良かった。それなりに社交的なところもすごく好感が持てた。
これからの dropbox としては、iPhone アプリやら色々出していくようだ。是非有料会員になってほしいと言っていた。
小規模な時期のベンチャーの濃くも楽しげなカオスな状態の現場を肌で感じることができてよかった。