G-CLOUDに行ってみて分かったことをつらつらと書いてみる
「外を知る」という目的で国内のクラウドイベント技評さんのG-CLOUDに行ってみた。
いろいろな観点で気づいたことがあったので、大項目に分けつつ書いてみたいと思う。
G-CLOUDというイベントについて
おそらく技評が行う初めてのクラウド系イベントだったのだと思うけど、プログラムの組み方と参加者の層を見るとエンタープライズ色が強めかなと思った。ここで言う「エンタープライズ」とは、
- 一言で言えばSIな方々
- コンシューマ向けのサービス提供をしていない
- 請負でシステムを開発もしくは提供する
- システム利用者は中大規模の国内企業
- システムは国内利用のみ、ワールドワイドでの利用は想定していない
という意味で使っている。
プログラムは「ソーシャルクラウドトラック」「エンタープライズクラウドトラック」と分かれていたが、ソーシャルクラウドトラックでもエンタープライズ向けのサービス紹介があった。
会場やイベント運用について
以下は気づいたこと。反面教師として自分が開催側になった時の教訓にしようと思う。
- 会場はさほど広くなく、でも埋まっていなかった。なぜだろう?
-
ネット環境がなかったのはNG。この手のイベントはもう無線LANの環境は当然と思ったほうがいい。
- 地下の会場だったのでe-mobileは入らず
-
下記の理由で、twitterのハッシュタグの利用が効果的でなくライブ感に欠けた
- ネット環境が用意されていない。携帯からとりあえずポストするだけ。タグをリアルタイムに追いにくい
- Webには記載してあるが、会場で配布される資料など目立つ場所にハッシュタグ情報が表示されていない
- 実際、ポストされたハッシュタグの数が少ない
- 必ず質問時間を設けるべき。話し終わって終了のセクションがあった。
-
スピーカーにスポットライトを当て、聞く側が暗くて、会場の反応や一体感がなかった
- 会場のホテルのやり方なのだろうけど、会場がフラットな関係になっていないと聞く側も聞かなくなる。
5年以上前のやり方を踏襲しているだけなのがすごく気になったので、是非改善して欲しいと思った。
国内のクラウドサービスの進捗具合
フリービットとGMOホスティング&セキュリティの実際聞けた。IIJと富士通研究所は資料のみ
- やっていることは「仮想サーバの時間貸し」サービス
-
コストが安いことをみんなアピールしていた
- コストはみんな安い方向に走るので、それ以外の特徴が知りたかった
- フリービットはVMwareを採用していると言っていたが、ライセンス費用で安さは追求しにくいはず
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フリービット
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クラウド+オプショナルなマネージメントサービスというのは、クラウドの理念から考えると矛盾していると思った</p>
- 本来はマネージしないことを求めるから雲の中に委ねるはず
- リブートが必要だけど、ユーザがスケールアップできるのはGood
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クラウド+オプショナルなマネージメントサービスというのは、クラウドの理念から考えると矛盾していると思った</p>
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GMO
- 初期費と月額固定的な料金体系はナンセンス
- まだ開発中と言っていたオートスケーリングの内容が気になる。特にどのレイヤまでフォローするのか知りたい
-
CDNの連携がそんなにメリットがあるとは思えなかった
- CDNに置けるのは静的なファイルだけで、動的に生成するページは補えないから。でも、そこも扱えるのなら素晴らしいことだと思うけど、できるのか?
- 話は聞けなかったが、IIJの資料にRightScaleのテンプレートのようなWebサーバ、MySQLサーバが選べるメニューがあったが、MySQLサーバの接続先情報とか自動的に付与してくれるのかとか、詳細が気になった。
国内でクラウドサービスの提供者はサービスが始まったばかりで、未熟な機能・考え方にとどまっていると感じた。機能も専用レンタルサーバをすぐ貸出しますよ。というイメージ程度でこれをクラウドサービスと言ってしまってはクラウドの理念が腐るかと思う。今後どういう差別化と機能拡張をしていくか、聞いてみたいところだった。これが描けないと価格の叩き合いにのまれてつぶれるだけだと思う。
GREE, Amazon+利用者の話が魅力的だった
GREEのCTO藤本さんの話は、Webサービス提供者として、クラウドに何を期待しているか、自ら取り組む場合どう考えているかが聞けた。
気になっていたのは、日本で規模の大きいインフラをすでに持って運用しているポジションにいる人が、クラウドに対してどう思っているかだった。なぜかというと、Zyngaみたいに大きいけれどEC2使っているケースはまだ日本ではなく、自前でサーバ買ってデータセンタで動かしている方がほとんどで、そもそもクラウドを利用したいのか、どの部分がクリアできれば実際移行の可能性が出てくるのかが知りたかったから。
「Webサービス開発者がサービスだけに集中できるサービスプラットフォーム」が理想で、これが実現できたら素晴らしいと話されていた。PaaSのレイヤに属し、自動セットアップやスケーラブルであることのようだ。
これはニヤリだった。まさにfluxflexはそういうサービスを実現しようとしているから。GREEにどんなシステムがあるかは不明だし、アプリケーションがたくさん複雑につながると困ってしまうのだけど、コンセプトはGREEの規模であってもマッチすることが確認できた。
あと、GREEがAmazonやGAEのようなクラウドサービスを提供する可能性としては、現状を聞く限り5年以上先 or やらない感じがした。
やはり、充実した内容のプレゼンだったのはAmazonだった。クラウドサービスと名乗る他社との差は圧倒的だった。
- 機能の豊富さ: EC2/S3だけではないというアピールをちゃんとしていた
- 取り組み方: 日本語ブログやStartup Challenge
- 実績: 多くのサービスを海外と日本でもたくさんあるよ
-
2つの事例: AWSの機能を利用しつつ、それなりの規模で運用し続けている。運用できる証拠を示した
- モバツイはAutoScalingは使ってなさそうだった。gumiは自前で仕組みを持っていたはず。
(もし日本でEC2が利用出来るようになるとしてw)今後日本のユーザが増えるのは必然のように思えた。すでに利用されているモバツイ、gumiの話は確かな実績だし、まだそこに到達出来ていない人には何か次元の違う話のように感じただろう。話をした2名とエンタープライズな方々とはユーザドメインやビジネスのスタンスも異なるので、その差がそのままクラウドの利用実績につながっているようで、この比較に気づいたことはすごく面白かった。
まとめ
国内でもクラウドサービスが提供されたという状況だが、AWSの優位はまったく変わらない。国内クラウドがAWSのレベルになるにはあと、3年以上はかかる or そこまで目指さないのではないかと思う。
ユーザを昔からの付き合いという、旧石器時代的な要素だけでとどめることはもうなくなっているので、エンタープライズな方向けだとはいえ、国内クラウドサービスをやっています、と言っている方々は本気で考えアクションしないと、足元すくわれちゃうなぁと感じたイベントでしたと。
ソーシャルアプリのゲーム性について考えてみる
gumiの国光さんにfluxflexを紹介しに行ったのだけど、後半に話したことが以前考えたことと重なって再考してみたので、書いてみる。
ソーシャルアプリはいろいろな種類のアプリケーションが提供されているが、やはりゲームが最も利用されていそうだし実質、「ソーシャルアプリ=カジュアルゲーム」になりつつあるんだろう。
特徴としては、
- すぐ始められる
-
題材が誰もが知っている一般的なもの
- ペット、車、街、農場など
- ミッションが単純
というところだろうか。なぜそういう傾向になるのかと思うと、基本的に無料のフリーミアムのモデルだからだろう。
- 基本フリーにする
- できるだけ多くのユーザを集める
- そのうち数%のユーザが課金対象となって払う
- サービスとしては売上があがり成り立つ
という流れでビジネスとして成り立つ。たくさんのユーザを集める必要が前提としてあるからカジュアルになりたがる。
この発想でビジネスとして成り立ってるタイトルもあるが、オリジナリティは低く誰もが作れるレベルになり差別化しにくくなる。実際、サンシャイン牧場とZyngaのFarmVilleの違いはほとんど無いだろう。
そこで考えたいのが「ゲーム性」という視点。ゲーム性が高いというのは、
-
前提とする背景やストーリーが複雑</p>
- 途中で変わったりもする
- ミッションが複雑で複数あったりする
- 難しさがある
-
レアなケースがあって、その度合が深い
- レアなものを得るにはすごい困難さがある
- すべてをクリアするには相当な時間と努力が必要
あたりとすると、ソーシャルアプリの流行っているものはゲーム性は低いと言える。
ゲーム性は「お金を払う価値があるかどうか」「ユーザがゲームの世界観にはまってくれるかどうか」が目的で、これはコンソールゲームやオンラインゲームでユーザがお金を払うことを前提としたビジネスで求められている。
ここにはネットが普及する前から長いゲームの歴史があって、ゲーム会社はゲーム性の高いものを求めて企画を練りタイトルを世に出してきた。ゲーム会社がソーシャルアプリに入ってこないのは開発プラットフォームの違いもあるだろうけど、そんなカジュアルなものなんて作っていられない。と思っている面が強いからではと思う。
それでは、本当にソーシャルアプリはカジュアルでないといけないのか。と考えるとそれはNOだと思う。たくさんのアプリケーションの中でカジュアルゲームにユーザを集めるのはゲーム性に差がないとすると、その会社の資金力がものをいってくる。資金力の大きな相手に対向するには、ゲームそのもので純粋に勝負するしかなくなってくる。今のソーシャルアプリはプレイヤーがそろっていない状態なので、先行逃げきり型でカジュアルゲームをヒットさせて売り抜けたウノウの例もあるけれども、今後はゲームそのものの面白さでユーザに判断されるフェーズに入るのだろうと思う。
これは健全な状態だし、すでにiPhoneアプリは良質なアプリが上位に入る健全な状態になっていると思う。
そんな発想でゲーム作りのノウハウがあるゲーム会社が、ゲーム性の高いものをソーシャルアプリとして本気で入ってくると今のプレイヤーの相関図も結構変わってきて面白い状態になるのかなぁ、そうなったほうがユーザにとっても楽しいのかなぁと思っている。フリーミアムにする必要はなく、一部の熱狂的なユーザを作り出せれば収益としては十分なので、ゲーム性とオリジナリティの高いものを求めて良い。
コンソールゲーム市場が減少傾向に入った今、ゲーム会社はゲーム性の高いものをソーシャルアプリに出してほしいなと個人的には思う。ゲーム会社のノウハウはそれだけ深く、Webサービスとは異なる体制が取れているので、もっと色々なプラットフォームの中で存在感を発揮できるのではと思っている。
こんなことを考えた根っこには、単純にもっと面白いゲームはソーシャルアプリにないのかなと思ったことと、それを変えていけるのはすでにノウハウと実績を積んできたゲーム会社だけなんじゃないかと思ったことがきっかけで、あまり他に書いている人がいないので言ってみた。
「よくわかるAmazon EC2/S3入門」という本を書きました
紹介するタイミングを完全に失ってしまいましたが、「よくわかるAmazon EC2/S3入門」という本を共著しました。技術評論社から出ていてすでにAmazonでも買えますし、書店にも並んでいるかと思います。
一緒に書いたメンバは学びingの五十嵐さんとハートビーツの藤崎さん、馬場さんです。
この本は Amazon EC2/S3をこれから理解して触ってみようかと思っている方々に向けて書いています。クラウドコンピューティングの説明から、実際の操作方法の解説、EC2/S3以外のサービスの説明、運用上気をつけるべきティップス、実際経験上起きた障害の紹介など、概要から実例まで幅広くカバーしているのではと思っています。最初と最後には漫画が載っていて、ある会社がAmazon EC2を検討するシーンがあります。私としては漫画を用いるのは斬新でしたが、抵抗感なく読み進められるのではないかと思っています。
私の書いた部分は、3章「Amazon EC2/S3導入手順詳細」、4章「Amazon EC2使用方法」、5章 5-1「Amazon CloudWatch」「Auto Scaling」「Elastic Load Balancing」、5-4「Amazon EC2/S3 ツール集」になります。
気をつけたことは、
- はじめての人でも手順を守れば確実に同じ結果を得られるように
- サービスの紹介では単なる紹介にとどまらずに、できること/できないことを示して、利用シーンのイメージをしやすいように
-
作業を進める際に気づくようなティップスをなるべく紹介する
- 本文に盛り込むには詳細度合いが異なるので、コラムとして切り出しました
という点かと思います。
特に6章、7章に示されている運用管理上の話は、EC2での豊富な経験を持つ学びingさんとインフラエンジニア集団として多くのシステムを手がけてきたハートビーツさんのノウハウが詰まっており、経験やノウハウの価値がここに凝縮されていると思いますので、具体的にシステム構築をされる前に是非一読いただきたい部分です。
そういった意味では、この本は入門書ではありますが、サブタイトルの「Amazon Web Services クラウドの活用と実践」のように、あくまでシステムづくりのツールとして活用するための実践書とも言えます。
まだ真の意味でクラウドコンピューティングサービスは国内では少なく、概念や概要だけが先行している状況が多々あるかと思います。クラウドコンピューティングに「実際に触れて実感する」ことが本当の意味でクラウドを活用するレベルになっていけると思いますので、そんな機会づくりのきっかけにこの本がなってくれればと思っています。この革新的なツールがもたらす新しい感覚を楽しんでいただきたいです。
読んだ感想は良い点・悪い点両方ともお聞きできればと思いますので、是非ブログのコメントでもAmazonのレビューでも何らかの形で感想いただければありがたいです。
逆転の競争戦略
- 作者: 山田英夫
- 出版社/メーカー: 生産性出版
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
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色々な業界でトップとなっているリーダー企業が競合によってトップから転落するケースがある。巨大なリソースとシェアを持つリーダー企業にやみくもに真正面から行ってはかなわないが、リーダー企業の強みを弱みに転換させることで、逆転することが可能になる。
この本はその逆転の戦略を描くための要因、スタンスなどを豊富な事例を紹介することで解説している。いろいろな業界のケーススタディとして具体的企業名や商品名など登場するので理解しやすい。マイクロソフト対グーグルの事例も紹介されているが、逆にネット系はこれくらいであまり深い解説やその他の事例は登場しない。
自分の場合であれば今Webサービスを立ち上げてエグジットを目指そうとしているが、それなりの成功を目指そうとするならば、やはりビジネスになるようにマーケットや競合への対策を考える必要があるし、それをビジネスプランで示して、外部の人の理解を促す必要がある。Webの世界も成熟してきているので競合がいないということはまずないので、先行者がいる中でどう差別化してシェアをあげていけるのか、この本を読んで競合側の視点にたって対策を考えることができた。
特に参考になった点は、リーダ企業がすでに資産を持っていることにより逆にやりたいけどもやれないジレンマが発生する部分がある。具体的にはメーカーであれば今まで営業チャンネルとして活用してきた系列店、チェインストアがあるだけに、ネット販売や量販店を優先させづらいジレンマがあるという。相手が取りづらいやり方をこちらが行なってしまうことはかなり効果的だとイメージできた。
ただ、実際自分がどう実践していくかはこの本には用意されているわけではなく、それは自分で答えを出していくことであるし、挑戦者にとっては当然必要なやるべきこと、ということはわきまえていないといけない。あくまでこの本は過去の事例から分類し法則性を見出し、概念的に理解しやすいようにフレームワーク化したまでだ。これらを理解した上で自分は何を発想するか、具体策として何を行っていくかが問われていく。
やはりこの部分は挑戦者としての醍醐味なのだし、誰かの責任にしてしまいたい心情かもしれないが、頭を悩ませつつ実際行動として打って出て、そのフィードバックを感じことができる。このことは挑戦者だけが味わうことができる贅沢なのだと思いたい。
</div>芸術起業論
- 作者: 村上隆
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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絵画をわざわざ見に行く習慣がない自分には芸術という世界は、何か感覚的なものが価値になっているという点でかなり縁遠い業界かと思っていた。
この本を読んでみて始めて分かったのは、そんな主観的な扱いをして作品の評価基準があやふやなイメージになっているのは日本だけで、本場の欧米のアート業界はお金が回るためのフレームワークと明確なルールがちゃんとあって、アーティストはそのフィールドの中で戦略的な振る舞いをして作品の価値を最大化することを狙っている。
これは芸術というフィールドではあるが、巨大なお金の回るマーケット上のビジネスであって、アーティストは絵がうまいとかそういう次元でなく、作品の背景を思考し、周りの人を動かし、プレゼンテーションする、まさに起業家なのだと。なるほどまさに「芸術起業論」のタイトル通りだと思った。
この本は単なる芸術業界のお話ではなく、自分が後ろ盾がない状態からどうやって生きていくか、また競争の激しい評価がつきまとう環境の中で、いかにして成功していくか、一人の人間がビジネスの舞台で本当に勝負するための思考、割り切り、実践を示していると言っていいと思う。
業界は違えど、ネットの世界でスタートアップしたばかりの自分と重なる点があった。
作品の歴史的な背景を知り、意味付けをして客観的評価を高めていくことは、ビジネスプランを作ることと全く同じ。ひとつのアイデアだったものが、客観的評価を得るには思いつきのレベルでは資金を得ることはできないし、それはビジネスの土台すらのっていないことになる。
シリコンバレーというフィールドも同じだなぁと思う。ひとつのサービスが大きな富を生むようになるために、最初に何が必要かを確かめるために実際現地に入ったが、単にアイデアもしくは作ったものの紹介止まりではやはりそれは単なる思いつき、個人の趣味レベルの話。創業者に求められることはそこから先にビジネスとしてどう意味付けをして、可能性を示してサービスの価値を高く思わせるかということにつきるように思える。さらにシリコンバレーではトラックレコードや強烈なコネクションがないとスタートアップが順風満帆に最初から資金を取り付けてスタートするのは難しい。
もうひとつの共通点は、日本の芸術の世界でも評価を曖昧にしたまま、生きて行けてしまう人たちがたくさんいるということ。これは世界のトップの舞台ではいない人たちで日本のITの業界でも同じ。日本のベンチャーでは余りない傾向だと思いたいが、昔からの大企業、それに依存するだけの中小企業ではまだまだ根深いところだろう。
もう自分はそういう世界にいた経験を反面教師にして今は埋没しない場所に立っているが、入ってくる情報の中に変わらずに壊れていない部分が見えるたびにすごいフラストレーションを感じる。自分の問題というよりも、フラストレーションを自分は絶対そうならないというモチベーションにしているのは村上氏も同じだった。
最近、日本人が世界の舞台で本当に勝負していくためには、どう振舞うことが必要なのだろうと考えていて、この本の中でもそのふるまい方が具体的に紹介されていた。自分が出した結論と大まかには村上氏も同じで、すでに村上氏は実際作品の価値を作るために利用してきていた。それは、いくら日本を出て現地に飛び込んでも日本人であることは捨てきれず、むしろそれを新鮮なアピールポイントにしたほうがいい、むしろ利用しないことにはその他大勢に埋没してしまう、ということだった。本場にはない日本だけが持っている特徴もしくはまだ知られていないポイント、これらは本場にはまだ浸透していない特徴であり新しさになるので、取り込もうとするから差別化のポイントになりやすいだろう。これはこれからの自分の振舞い方で利用の仕方を模索したいところだった。
世界のフィールドでビジネスを展開し始めようとする自分にとっては、先駆者としての村上氏の意識の共通点があったことが嬉しかったし、苦悩しながらつかんできた実践は生きたガイドラインになると思う。
</div>TechCrunchJapan 東京Camp デモピットに参加します
6月からのシリコンバレーオフィスでの活動開始前に5/27に開かれるTech Crunch Japan主催の東京Campに出ることになりました。東京Capmは20社ほどのスタートアップがデモする場を設けて来場者の方々がそれぞれ見て回れるイベントです。今回は25社程度になるそうです。
その1社として参加して、私が説明員としてデモビットに入ります。会社名は fluxflex, inc. です。
開発途中段階ですが簡単なデモを実施しながら、fluxflex がどんなサービスか、何をしたいか。来場者の方々に説明いできたらと思います。
また、僕らのサービスは Amazon EC2/S3 などの AWS サービスを利用していることから、Amazon Data Services Japan からプロモーションの支援をいただいていて、今回ノベリティグッズをいただいちゃいました。
ステッカーとペンとあと限定のキューブみたいなもの?もあります。デモビット配布できればと思います。
僕らは日本でのネットワーキングも重要視していますし、これからいろいろな方と出会っていきたいと思っています。今回の東京Campを機に可能性を広げてくれるような良いネットワークが作れたらいいなと思っています。
是非 fluxflex のデモピットにおこしください!!お待ちしています~
JETROの短期プログラムに合格しました。6月から2ヶ月間サンノゼにいます。
最終的なジェトロとの契約締結が終わった段階で公に出来るかなと思ってましたので、このタイミングになりましたが、id:keikubo とシリコンバレーベンチャーを目指す最初のステップとして、ジェトロの短期プログラムにエントリーしていて、合格しました。
ベンチャーインキュベーション in USAのシリコンバレーの施設であるBICに6月から入居します。
短期プログラムにした理由は、エントリーした段階ではまだ法人を作っていなくて、個人としてエントリーできるのは短期プログラムだったことと、会社の準備段階からのサポートは自分たちの段階と合っていると思ったからです。
6/14からサンノゼにあるBICに入居し、短期プログラムの期間である3ヶ月間はシリコンバレーでオフィスを構えられることになります。(その後、オリジナルプログラムへ移行して、い続ける可能性はありますが)
僕はビザのめどがっていないので、90日間フルでい続けるよりかは、その後もシリコンバレーに通うことを考えて、2ヶ月間の滞在としています。
ジェトロのインキュベーションプログラムはエントリーの条件も厳しくはなく、比較的間口は広いかと思います。選考にはビジネスプランの作成と1回のプレゼンテーション(審査会)で決まります。日本人からシリコンバレーで起業を目指すなら現地のインキュベーション施設にいきなり入るよりかはハードルが低いかと思います。国内に会社を持っているところが進出する際に利用するケースが多いようですが、僕らのようにアメリカで登記したまったく新しい会社も対象になるので、シリコンバレーに進出するひとつの選択肢にしてもいいかもしれません。
一応、今までのジェトロとのことをまとめておきます。
- 2009年12月 ジェトロのWeb上の情報より電話で問い合わせ その後、担当者とメールやり取りが始まる
-
2010年1月 Webの申し込みフォームより申し込み
- 同じ時期に担当者との対面の打ち合わせ。プログラムの説明を受ける。今後の流れを把握する。
- 1月下旬 エントリーに必要なビジネスプラン(ジェトロから内容の要件指定がされている)を提出。一次コメントをもらい修正。
- 2月中旬 審査会開催 ジェトロ先端技術交流課の方々と外部の審査委員の方に対して提出済みのビジネスプランをプレゼンテーションする
- 3月中旬 ビジネスプランの追加資料を提出
- 3月下旬 合格通知 # この時点から1ヶ月以内に法人を設立し、ジェトロとの契約を締結する条件がある
- 4月上旬 アメリカで設立した会社の情報を送る
- 4月下旬 契約書が郵送され取り交わしを行う
- 5月中旬 BICの現地のスタッフの方と事前のレクリエーションを受ける
現地のサポートの内容やアドバイスはこれから受けてみないとわかりませんが、僕らにとってはひとまずオフィスとアドバイスしてくれる環境を得られたのは大きく、最初の基本のステップには進めたと思います。
1点、注意が必要だったのは、短期プログラムは会社設立のサポートも含まれていますが、これはすでにある日本の会社がアメリカで子会社を作る際を想定しているようで、僕らのようにまったく新規の会社設立はサポート対象になれなかったことは想定外ではありました。
合格通知後、契約締結までの間に会社を作りその会社と契約することが条件になっていますが、この時点ではまだジェトロと契約締結はしていないので、自分たちで会社の登記処理を行う必要があります。同じようなケースで考えてらっしゃる方がいれば参考にしていただければ。
会社の事務、サービスのローンチ、ネットワーキング、資金調達などなど山積みですが、ともかく、6月から7月いっぱいまではサンノゼにいますので、もしこれを機にシリコンバレー行こうかな?と思っている方は是非遊びに来てください~
ロングテール
クリス・アンダーソンのFREEは読んだのだけど、実はその元の位置づけとなるロングテールはちゃんと読んだことはなかった。
ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)
- 作者: クリスアンダーソン,Chris Anderson,篠森ゆりこ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07
- メディア: 単行本
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この本はおなじみのロングテール曲線についての解説ではなく、ロングテール曲線を描けるサービスが実際に存在したことによって、従来のヘッドの部分だけを見ていた者たちが衰退していく傾向にあることを解説している。そういう意味では世の中の大きな変化を具体的に見ながら解説してくれている本と言える。様々なデータや分野から実例を示しながら細かく解説しているので、ロングテールが及ぼすインパクトを概念的でなく実感として感じやすいだろう。
ロングテール自体の意味は他の本でも紹介されているので概要は理解していたが、世の中へのインパクトはどんなところにあるのかを理解したい場合は、やはりこの本を読むことで得られると思う。
ロングテール曲線の詳細について知らなかったこととして、あのおなじみの曲線は、テールの先の方に行ってもミクロの範囲ではロングテール曲線を示している、というのは面白いことだと思った。結局、人の好は限界がなく、数は少ないながらもニッチなものが永遠と続いていく。
読み終わって思うのは、映画・音楽・テレビ(民放は特に)に携わる人達はこれから大変だなぁと人ごとながら危機感を感じる。特にマーケティングという立場にいる人達にとっては、従来とは正反対の考え方に変化することを求められていのがはっきりしているということだ。これを自覚しているマーケティング担当者は青くなって勉強し直すのだろう。残念ながらまだ考え方を入れ替えられていない自称 or 従来のマーケティング担当者の方が圧倒的に多いと思うけど。
結局、特定の作品なりをオススメとして露出を増やして売上をあげる。という方法はもう効果が上がらないし、今後は下がる一方と分かっている。そもそも作品を特定するのは売り込む側から購入する側であるユーザに権利が移ったので、「オススメする」から「ゆだねて選んでもらう」というスタンスに変わる必要がある。だから正反対の考え方が必要。
ユーザが「自分の好みの作品を選んで買う」いうこの状況はすごく健全で、本質的なことだと思う。今までは環境がなかったことで、特定の情報だけを選ぶために選別する人が売る側に必要だっただけだ。
ユーザは逆にオススメを鵜呑みにせずに、自分は何が好きか、どんなものを求めているかを考える必要がある。この視点の延長で、自分の振る舞い方と照らすべき、良い文章に出会えたので引用する。
確かにネット上に完全に信頼のおける情報というものはないので、どれだけの情報源にあたって最終的な判断を下すかは本人次第だ。だから何が正当かは当然決まっているとか、絶対に間違えない組織があると信じて自分を甘やかす時代は終わり、混沌とした情報の渦の中で調べて考えることを要求される —-そうすれば報われる—- 時代が来たのである。
クリス・アンダーソンはネットに生きているなぁと思う。こういう生き方・振る舞い方に直接響く文章は本当に良い。言い切れることも素晴らしいし、実はネットに対するこういう筋の通った文章を提示している人は本当に少ないと思う。
</div>「分かりやすい表現」の技術
なんとなくタイトルに惹かれて、捨てられそうになっていたこの本をもらって読んでみた。
「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール (ブルーバックス)
- 作者: 藤沢晃治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/03/19
- メディア: 新書
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豊富な「分かりにくい」例を示しつつ、分かりやすい表現をするための16個のルールを提示している。ページ数は少なく分かりやすく端的に述べられている。
新鮮だったのが、「分かる」ということを科学的に説明している部分だった。
いくつかの言い方をしているので、転記しておく。
「分かっている状態」と「分かっていない状態」の違いは、情報が脳内の整理棚にしまわれているか否かの違いです。
「分かる」とは、新しい情報の構造に関して、自分がすでに知っている情報の構造と照らし合わせ、それと一致するものを認識することです。
「分かった」と思うのは、抽象化によって一つの共通グループを形成したり、またはすでに形成済みのグループに新しい事柄を所属させる、つまり整理棚の一区画にしまい終え、安心できた時です。そのとき「分かった」「納得した」と感じるのです。
あまり自分で「分かる」ということを自覚したことがなかったので、良い発見だった。
分かりやすさを強く意識するのが、スライドを使ってプレゼンテーションをする時かと思う。16個のルールに照らせば、スライドの組み立て方に具体的に参考に出来そうだ。でも、スティーブ・ジョブズの数字しか書いていないスライドを見せるような、見る側の想像力をかきたてるようなテクニックにとはまた別で、純粋に分かりやすく説明するための心得として書いている。
今後、ドキュメントづくりや相手に話す時にでも活用できるとよさそうだ。
</div>診察終了と今までのまとめ
この日で矯正歯科に通うのは最後となった。
上下の歯型を取られ、あとはリテーナーを作り直したいときや洗浄したいときにこちらから連絡をすることになるらしい。リテーナーをつけ続けるかやめてしまうかはこちら次第ということで、もう自由に決めちゃってくださいということらしい。
なので、定期的に通うのは終了で普通に過ごせていれば何も無し、ということで終了。リテーナーにして2年間くらいがチェック期間としているようで、予定通りに終了となった。
本日の精算 : チェック料 ¥5,000
リテーナーを長時間外していると前よりも動く量は減ったが、やはり戻りやすいので引き続き食べる時以外はつけていようと思う。今年一杯くらいこのペースでつけていれば動かなくなってくるかなと思っている。
通うのはすべてが終わったので、今までのまとめをしてみようと思う。かかった金額の合計と期間を表にしてみた。
期間 | 内容 | 金額 | 通院回数 | memo |
---|---|---|---|---|
4ヶ月: 05/11/22 – 06/03/12 | 検査・準備 | ¥67,180 | 7回 | 内2回¥14,130 は歯科医院での永久歯の抜歯 |
1年10ヶ月: 06/03/18 – 08/01/05 | ワイヤー器具 | ¥693,000 | 22回 | - |
2年3ヶ月: 08/01/19 – 10/04/06 | リテーナー | ¥105,400 | 11回 | - |
総合計 | トータル期間: 4年4ヶ月 | ¥865,580 | 40回 |
---|
まとめで分かったこと書いてみる。
- 総合計金額は最初に80万くらいと聞いていたので若干オーバーしたが大体あっていた
- 次回予約時に候補日の中からなるべく遠い日付を選べば数回分 x チェック料¥5,000は減らせただろう
- 矯正は通う回数ではなく期間とその時の状況によってやるべき内容を決めていくので、回数を減らせばその分金額はかからなくできる
-
通う頻度は以下だった
- ワイヤーを付ける前は2週間ごと
- ワイヤーを付けている間は4週間ごと
- リテーナーにしてからは3ヶ月ごと
- 頻度は下がって時間の確保は楽にはなっていく
-
ワイヤーの期間が2年弱というのは早い方らしい
- ただ早くワイヤーを外してしまうと元に戻りやすい懸念も出てくる
-
期間としては4年以上。結構長かった
- 引越してからそんなに通う回数がなかったのが幸い
-
引越しや転勤がなさそうな事も矯正を始める条件になるかと思う
- 通うのが厳しくなった際は近くの矯正歯科を紹介してもらって引き継いでもらうようだが、せっかく選んだところが変わるのは心情的にない方がいいと思う。
- どこまで歯並びを変えたいかは自分が決める。それによってワイヤーを付ける期間と抜歯する or 隙間を削るなどの方法が変わってくる
- リテーナーをいつまでつけるかも自分が決める。やはり最後は自分の判断。
今まで歯科矯正に通った履歴は全てこのブログの[歯科矯正]カテゴリーに記しておいたので、これから矯正を考える方の参考になればと思う。