UEFAチャンピオンズリーグ決勝 バルセロナxユベントス


UEFAチャンピオンズリーグ決勝 バルセロナxユベントス をテレビで観た。

自分なりの視点を含めてサッカーコラムっぽく書けないかなと思ってやってみる。

出典 : https://twitter.com/fcbarcelona/status/607662822374445057

ヨーロッパリーグが終了した後の今シーズンの締めくくりであり、世界中が注目する大一番。UEFAチャンピオンズリーグ決勝。

その舞台には、FCバルセロナ(バルサ)とユベントスが立った。

バルサはリーガエスパニューラの好調ぶりを継続して完成度が高い。一方、ユベントスはセリAの衰退過程の中、4連覇を達成。前評判として圧倒的にバルサ優勢。ユベントスがどこまで迫れるかがポイントになると思っていた。

試合を支配し続けたバルサ

結果は 3-1 でバルサの勝利。

ユベントスも肉薄していたと評する記事もあったが、見ていてそうは思わなかった。

バルサは最初から最後まで完璧に試合をコントロールしていた。

バルサは思い通りにプレイし、ボールを支配し、得点を重ねた。ピッチに立っていたユベントスの選手たちが何もできなかったことを一番実感しているのではないか。試合終了後にピルロが涙したことはそれを物語っている。

バルサの勝利へのセオリー

バルサのプレイは全て無駄がない。理にかなっているとも言える。

それがバルサのスタイル・思想であり、それを具体化したプレイを選手たちは忠実に実行していた。

具体的に見て行きたい。

最終ラインのボール回し

バルサの最終ラインのボール回しは特徴的だった。

通常、ポゼッションを高めたい場合は各選手間の距離を短くするために、最終ラインは高く設定しセンターバック(CB)2名は相手ゴールに近づこうとする。

バルサのCBはそうはしなかった。むしろ逆に後ろに下がったのだった。ユベントスのFW2名がプレスをかけた時がとても顕著で、ゴールライン付近まで下がってボール回しをしていた。

下がることの利点はいくつかある。

ゴールライン付近まで下がることでゴールキーパー(GK)との距離が近くなり、相手FW2名に対してCB2名+GK1名=3名の数的有利でボールを回せる。CBはサイドライン付近まで広がりGKは中央に位置する。距離を保つと相手の移動距離が生まれ時間が生まれるので余裕を持って回せる。

よくあるように行き詰まってGKが前線にロングボールを蹴り攻撃権を放棄することなく確実につなぐ。

その時サイドバックはタッチライン沿いに距離を保ちCBのちょうど前方に位置する、それのさらに前方には3トップのサイドアタッカーが位置する。”CB - サイドバック - アタッカー” という、シンプルな縦関係になっている。

バルサのボール回しは縦のスペースを使うために、選手間の距離を広げつつ、タッチライン沿いに縦関係を保ちボールを繋ぎやすくしていた。

繋ぎたいから近づくのではなく、縦のスペースを生み出すことで相手のプレッシャーを受けづらく、ボールを受けるスペースを生み出していた。

非常に理になったボール回しの方法だった。

ゴール前にスペースを作る

引いてゴール前を固めるユベントス、バルサが自陣に入ってきてもプレシャーに行かない。最終ライン4名、その前に3名と綺麗にラインを作りスペースを埋める。ゴール前のスペースを与えないことを優先し、バルサがボールを持っても激しくボールを狩りに行くようなディフェンスはしない。

そのことが結果的に裏目に出てしまった。

プレッシャーがない状況はバルサにアイデアを生む時間を与えてしまう。縦にスペースがあるのでバルサの選手は相手の間にポジションしながらボールをつないでいく。サイドバックが高く上がった時が攻撃のスイッチを入れる合図だった。

ペナルティーエリア内のスペースにイニエスタが走りこみ、ボールを受け同じくスペースに入って来ていたリキッチがゴール。完璧だった。

引いて動きの少ないユベントスはスペースに走り込むバルサについていくことができない。リアクションが必要なのでどうしても遅れてしまう。実際、イニエスタのスペースへの走りこみに気づいたビダルは間に合わなかった。

引いた相手からどう得点を生み出すか。バルサにはすでに答えを持っていることを示す象徴的なシーンだった。

得点の可能性の高いスペースを生み出しておいてそこに走りこむ。走りこむ際は相手を置き去りにしやすい。特に2列目がゴール前まで入ってくるような縦のギャップが生じる動きはディフェンスしにくい。縦のスペースを意図的に創り出すもう一つのメリットを示した。

90分で勝つためのペース配分

バルサのボール回しはゆったりとしたリズム。のらりくらりのリズムからここぞという時に、危険なパス、ドリブルをしてゴール前に侵入していく。

ゆったりとしたリズムの時に選手は疲労を避けることができる。近年のハイプレスと縦に速いサッカーはともすればお互い速く攻めあってしまいスタミナの消耗が激しくなるリスクが生じる。バルサは確実に勝利を手にするためにムダな体力の消耗を避けていた。

プレッシャーがなくスペースがあればドリブルを仕掛ける。イニエスタやメッシがドリブルする時は必ずそうだった。

相手が近く寄せてくればワンタッチ、ワンツーでかわす。ボールを取られそうになったら体をうまく使いファールを得る。この心理的余裕。身長が低くても相手をいなす。

体力的消耗は脳内の疲労を生み正確な判断の妨げになる。だからムダに体力を消耗しない。この考え方がチームの共通理解になっている。

観客が激しさや走ることを求めるプレミアのようにはいかない。

ユベントスはボールを奪えない状態が続きフラストレーションがたまる。そのフラストレーションがたまにチャンスが来た時のフィニッシュの精度を欠く。ボールはゴールの枠を捉えられない。

基本技術の高さ

戦術や共通理解はあるにしても基本技術が高くないと成り立たない。

バルサのボールを止めて蹴る技術の高さ。プレッシャーがあってもブレない。一方、ユベントスはパスが30cmずれて相手がカットしていた。そのディテールの違いの積み重ねが試合を決めていた。

もう一つ重要な技術はパスを受ける位置取りの質。パスを受けやすい位置取りを2名で作る。パスする方は選択肢が2つあり選択することができる。「ティキ・タカ」の基本であるが、これはパスする側ではなく、ボールを持っていない選手が受けるための動きの質が求められる。 バルサはあらゆるシーンでボールを受ける動きの質が高かった。

ユベントスはほぼボールを受けるための動きができていなかった。パス選択肢が1つ程度になるのでマークしやすくボールを奪われやすい。個人の力で突破できるほど飛び抜けた選手はユベントスにはいなかった。

まとめ

バルサの実践はとても理にかなっていた。クラブとしての考え方・やり方によるものだろう。 チームとしての共通認識、勝つためのHow toが整理されている。おそらくドキュメント化され選手は入団時にそれを学ぶ。 選手が共通理解として持っているから連携し合い、ゴールが奪える。

成熟度がまるで違うと思った。共通理解の深度とも言える。

プレミアのような激しく縦に早い直線的なサッカーでもなし、セリAのような堅守とFWの能力を十分に活かしたサッカーとも違う、身長のないうまい選手たちをどう活かして勝つか。そのためのセオリーと具体的な動き方が選手に浸透している。リーガで目にすることのできるサッカーは他とは全く異なる特徴を持っている。

特徴の似ている日本はもっとリーガから学べると良いと思う。世界のトレンドに合わせて非ポゼッションを実践するのではなく、自分たちの特徴を活かしたサッカーを追求するためにもっと学習する。ヒントはたくさんある。