欧米・対決社会でのビジネス


“梅田望夫の本が好きならこれを読むといいよ。古い本だけどこういう風になりたいなぁと思ったよ。” といいながら貸していただいたHさん。とても素敵な本を貸していただいてありがとうございます。

欧米・対決社会でのビジネス

欧米・対決社会でのビジネス

梅田望夫さんが憧れている?という作者:今北さんが自身の欧米で働いてきたビジネス経験話を中心に具体的な出来事/エピソードの紹介、欧州と日本の文化の違いなどについて論じている。

ビジネスの経験話では、ヨーロッパにおいては個人が確立されないと存在価値が出ない現実や自己を主張することや、自己を保護するためのユーモアを身につけていることなどが具体的経験例をもとに紹介されている。

エピソードとしては日本にいる私には想像しがたい強烈な個性のやり取りを経験されてきたことが分かるし、その中でもステップアップを重ねている今北さんのスキルに確かに感心する。

ただ、この本のコア部分はエピソードではなくて、経験をもとに働くものとしての考え方を論じているところ。

語学力というテクニックや、海外経験年数というレッテル、あるいはマネジメントの方法論といった周辺部分に振り回されることなく、自分という存在を国際化の潮流の中でどう位置付けるか、その原点に立ち戻って自分の専門分野、自分の城を持つべく学習の手をゆるめない。そんな、自分自身に向かっての冒険を追いかける人間を一人でも多く生み出していくことが、今一番求められている、ということだ。

受験、大企業就職は安全ではあるが、主体としての自分自身がしっかり存在しているのかどうかを説いている。

エンジニアとして自分が今考えている理想のスタイルについて全く同感する部分の記述。

90年代に向けて私が魅力を感じるエンジニア像というのは、グループで力を発揮するチームプレー・タイプよりむしろ産業のニーズを動物的な感で先取りし、自分をアメーバのごとく状況に対応させながら貪欲に自分の城を進化させていく、牽引車タイプの前衛的エンジニアである。集団主義で力をつけてきた日本の産業が、もう一段ロケット噴射して飛躍するのに彼らの誕生がどうしても必要と考えるのは、私の独断であろうか。

まさに今、インターネットが発展し、情報が共有され個人による情報発信/創造が可能な環境がある中でこの指摘がばっちり当てはまってくる。ウェブ時代をゆくに共通する視点かと思う。

初版1988年のこの本に今も変わらぬテーマを教えてもらった、と同時に時を越えて今自分が求めている姿が必要と述べられていたことの出会いがあった。

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