Jリーグ 2015年1st スタジアム稼働率・比率差 調査結果


J League

サッカーマガジンZONE 2015年 11月号 に「データで解き明かす 勝利のロジック!」という特集があり、その中でデロイトが面白いデータを紹介していた。

2014年シーズンのクラブごと平均スタジアム稼働率の他、最も観客が入った試合と入らなかった試合の差分を比率差として算出していた。

比率差は、「対戦カードによる観客数の差がどの程度大きいか」を示していて、イングランド・プレミアリーグは9%なのに比べ、Jリーグは50%以上になるクラブもあり、ばらつきが非常に大きいという指摘だった。

このデータは2014年シーズンなので、2015年シーズンはどうなのだろうと思って算出してみた。

全クラブは手間がかかるので、東京近郊の数クラブの2015年シーズン1stステージが対象。

入場者数のデータは、J League Data site から。

調査概要

対象クラブ

  • FC東京
  • 横浜Fマリノス
  • 川崎フロンターレ
  • 湘南ベルマーレ
  • 浦和レッズ
  • 鹿島アントラーズ

調査ゲーム

2015年 1st ステージ ホームゲーム

通常と異なるスタジアムで開催された試合に対しては、ばらつきをおさるためにデータ対象外とした。

調査結果

FC東京 調査結果

横浜Fマリノス 調査結果

川崎フロンターレ 調査結果

湘南ベルマーレ 調査結果

浦和レッズ 調査結果

鹿島アントラーズ 調査結果

平均稼働率

  1. 80% 湘南ベルマーレ
  2. 76% 川崎フロンターレ
  3. 62% FC東京
  4. 64% 浦和レッズ
  5. 35% 横浜Fマリノス
  6. 33% 鹿島アントラーズ

最大稼働率

クラブごとのスタジアム最大稼働率を順に並べる。

  1. 97% 湘南ベルマーレ
  2. 94% 川崎フロンターレ
  3. 85% FC東京
  4. 83% 浦和レッズ
  5. 53% 横浜Fマリノス
  6. 42% 鹿島アントラーズ

最小稼働率

クラブごとのスタジアム最小稼働率を順に並べる。

  1. 61% 湘南ベルマーレ
  2. 56% 川崎フロンターレ
  3. 47% 浦和レッズ
  4. 42% FC東京
  5. 27% 横浜Fマリノス
  6. 21% 鹿島アントラーズ

比率差

比率差の大きい順に並べる。

  1. 51.3% FC東京
  2. 50.6% 鹿島アントラーズ
  3. 49.4% 横浜Fマリノス
  4. 43.9% 浦和レッズ
  5. 40.5% 川崎フロンターレ
  6. 37.2% 湘南ベルマーレ

結果より

平均稼働率・最大稼働率・最小稼働率のランキングが同じ並びになった。 スタジアムの収容人数に対してどれだけ各クラブが集客できているかの、集客力が分かる。

最も稼働率が高い湘南ベルマーレのBMWスタジアムは1.5万人収容可能で平均1.2万人。スタジアムの収容人数が少ない分稼働率が高い。 一方、浦和レッズの埼玉スタジアムは6.3万人収容可能で平均4万人集めているので集客能力は高いと言える。

鹿島アントラーズは集客できていない。4万人収容可能なサッカー専用スタジアムを有するが最大でも42%。平均33%は明らかに少ない。スタジアムを埋められるだけの能力をクラブが持っていない。逆に言えば、集客能力に対してスタジアムの収容人数大きすぎるとも言える。

稼働率の高い湘南ベルマーレと川崎フロンターレはスタジアムサイズが小さい分、率が上がりやすい。

比率差

どのクラブも振り幅が37-51%と大きい。対戦相手によって試合を見に行くかどうか決めているサポーターが多いということ。

この率が高いほど、 試合ごとの観客数の振り幅がある = 一定した観客が集められていない となる。

もっとも大きいのがFC東京となった。50%を超えるので最も集まった観客数の半分以下しか来なかった試合もある。

比較的スタジアムの小さい、湘南ベルマーレ、川崎フロンターレ。そして最大のサポーター規模を誇る浦和レッズが振り幅が少なかった。

とはいえ、イングランド・プレミアリーグの毎試合ほぼ満席の状態と比べると、振り幅が大きすぎる。毎試合集客できていないことがわかる。

地方性はなかった

結果が出る前の予想として、「地方クラブの方が稼働率が高いのでは」と仮説を立てていたが、鹿島アントラーズを見る限り当てはまらなかった。

鹿島アントラーズ以外の他のクラブの結果を出してみないと結論は付けられなかった。

結論

平均稼働率が数値として低い。満員のスタジアム の状態は特定のクラブ(比較的収容人数の少ないクラブ)の特定の対戦相手の時だけだった。

今後

今後どうすればいいのか、考えてみた。

スタジアムに集客する

まずは100%近い稼働率を目指す。 スタジアムサイズは変更できないので、今あるホームスタジアムの収容人数いっぱいまで集客することにクラブは注力すべき。

満員のスタジアムは特別な空間をになり、非日常の体験に繋がる。それが魅力になる。

例えば、思い切って入場料を下げてしまってはどうなのだろう。集客数が倍になれば半額でも売上金額は同じになるので、

  • 入場料を千円台にする
  • キックオフ後の入場券を四分の一にするとか
  • 商店街の売り物とセットにしてチケットを売る
  • シャトルバスとチケットのセット
  • 外国人旅行者のパッケージにチケットをセット

とにかく購入しやすい方法を取っていく。

試合を見ることを習慣化する

毎試合に見に行くことを習慣化しないと比率差は縮まらない。土日の過ごし方として当たり前にするために何をするか。

ユースケースとしては、

独身の場合

  1. 金曜日まで働いているので、ゆっくり目に土曜日起きて、試合開始4時間前にスタジアムへ向かう
  2. (あまり疲労にならない程度の交通手段で)移動
  3. 朝昼ご飯兼用でスタジアムのグルメを食べる&天気が良い中ビールもついつい進む
  4. クラブサポーターエリア(仮)にて、
    • 前回アウェーでの試合の写真・ハイライト動画、公開練習の動画を眺め、ケガをしている選手と触れ合う
    • サポーターの友人たちと会いながら、選手の調子・今日の試合のことについて話す
  5. 試合開始・終了
  6. 友人と行きつけのクラブひいきにしている居酒屋で試合談義に花を咲かせながら、夕飯を食べる飲む
  7. (あまり疲労にならない程度の交通手段で)帰宅

家族連れの場合は、試合前子どもも楽しめるサッカーゲームを加えてもいい。

とにかく、充実した過ごし方がスタジアとその周辺で完結しないといけない。しかもその時間は一日中。試合時間はハーフタイム含めて120分ほどかも知れないが、顧客は移動、食事などをスタジアム周辺で過ごすとなると一日がかりになる。

顧客の1日をどうやって充実した素敵なものできるか。そういう視点に立って考えるべき。

細かいところではスタジアムへのアクセスが疲れたものにならないように、早目の時間からの臨時シャトルバスを走らせる。ボトルネックが生じない人の動線の設計など事前のインフラの準備が必要だろう。

肝心なことは、スタジアムに足を運ぶ人の体験(ユーザ体験)が豊かになったかどうか 。ここで苦痛を与えてしまってはリピートしない。

ユーザ体験を左右する最も大きなものは白熱した試合展開かも知れないが、サポーター同士の触れ合い、スタジアムへのアクセス、食べること・飲むことなどそのユーザが試合観戦を通じて触れるものは多い。

その一つ一つをどうしたらより豊かになるか。クラブに携わる方々は意識して運営に望んでいただければと思う。


と色々考えて挙げてみたが、自分の会社の一環で手伝えれば最高だなぁ。やはりスポーツが流行ることは生活が豊かになることだと思っているので、そういった仕事に取り組めるのが何よりも今やりたいことだったりする。