LEAN – インタビューやってみて失敗したあれこれ


スマートWP を作っていく上で、リーンスタートアップの手法を使って行こうと決めて、RUNNING LEAN (参考: RUNNING LEAN を読んだレビュー)を読み返しつつ具体的行動をしてみたのだけど、初めてのことだしなかなかうまく行かなかった。今思えば失敗の連続だった。

その経験を経て最近ようやく「こんなことかな?」と捉えられるようになったけど、そこに至るまでの数々の失敗もちゃんとアウトプットしていこうと思う。

今回はインタビューについて。RUNNING LEAN では顧客と直接話す課題インタビュー、ソリューションインタビュー、MVPインタビューを行うことが書いてあって、順番に終了条件を満たしたら次のインタビューに進むことになる。これを真似て課題インタビューとソリューションインタビューを行った。

そこからやってみて失敗だったと思えることを並べていく。これからやってみようと思っている方の参考になれば幸いです。

また、すでにリーンスタートアップの手法を実践した方は非常に貴重な存在なので、共感した点や異なる点を是非交流したいと思っています。何がしかのフィードバックをいただければです。

それでは、失敗のオンパレードをつらつらと並べていきます。

インタビューした人数が多すぎた

RUNNING LEAN の p66 には「わずか5人の顧客インタビューで十分です。」と書いてありながら、p80 には「4〜6週間で30〜60人にインタビューしましょう。」とあって、じゃあ多いほうが良いのか、と思いつつ6週間もかけられないから1ターゲットセグメントに10名をまずやってみようと決めた。 途中、WP制作者以外のブロガーもターゲットにインタビューしたのでトータル26名、期間は16週間(4ヶ月弱)かかった。

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これはあまりに時間をかけすぎ。あっという間にプールしていたキャッシュが消えてしまった。本のようなペースではとてもじゃないけど数をこなせない。実際紹介者が協力的でも仕事で忙しかったりしてあっという間に時間は過ぎてしまう。

結果的には 課題インタビューは5名に実施する で良いと思った。

4/5名が課題に思っていなければそのアイデアはNG。もう取り組むべきではない。逆に4/5名が課題に思っていれば先に進んで良いと判断できる。

課題インタビューは想定しているターゲットが想定している課題を持っているかどうか確認する ことだと気づけたので、数が多ければ良くなる理由はどのにもない。

「NO」と言ってくれる人はない

今回はデモ出来るレベルの製品を作ってしまった(これも失敗の一つ)ので、課題インタビューと同時にデモも行ったのでソリューションインタビューも同時に行った(そしてこれも失敗)。

デモをして反応を伺う時にみんな否定的な反応はなく、肯定的な言葉が返ってきた。Noではなかったので良かったなぁなどと思いながらも、どうも食い付くような反応も無いことにずっと違和感を感じていた。 インタビューの数をこなせばはっきりしてくるかと思ったが、結果的にこの違和感はずっと続いた。

日本人的傾向を見抜く

この違和感は日本人的傾向をちゃんと把握していないから肯定的に捉えてしまって、実はNGな反応だったことがあとから気づいた。

例えば、デモした後に「xxxxさんなら良さそう」とか、プライシングを提示した後に「xxxxx業界なら使うかもですね」のような言葉は主体が自分ではなくなっているので、NGの反応でこの人はターゲットではなくなったということ。

ついでにこの人の言葉も信じてはいけない。xxxxさんやxxxx業界が本当に使うかどうかは別の話。ましてやこの人はターゲットではない。外野から見ているだけの言葉に信憑性はない。せっかくのアドバイスだけど申し訳ないが捨てる。

言葉の主体が自分を外れた段階でターゲットではない。それ以上聞いてはいけない

やっぱり初対面でデモできるものを労力を掛けて作った人を目の前にして、「僕は使わない」とか「もっといい方法なの?」とかは失礼に当たると思ってなかなか言わないだろう。

ここらへんは和を重んじる日本人の傾向が出てしまったのだろうと思う。そういう傾向がインタビューの場では常に起こりうることを理解しつつ、その人の反応が本質的にYesなのかNoなのかを見抜く必要がある。

期待と思い込みを消せなかった

なるべく科学的手法を取ろうとしても、やっぱり自分が思いついたアイデアが受け入れられて欲しいと強く思うので、結果を正しく分析できなかったりする。

それは、切り替えて次のアイデアを練るとか新しいターゲットに変えてみるとか次の行動に移行できなくなることになって、素早く動くことを妨げてしまう。

期待と思い込みは常に無意識にいろいろな場で顔を出すので本当にやっかいだった。インタビューの場でネガティブな反応をちゃんと示してくれたにも関わらず、「こうすればよいですかね」みたいにポジティブな反応を得るためにその場を解決しようとしてしまったりするのは典型だったと思う。

自分の内なる気持ちと戦う

人間である以上、未来へワクワクする気持ちは抑えられないと思うけど、自分の内なる気持ちを自分で把握して望まないと結果を正しく認識できなくなる。

インタビューは純粋にその人の反応の仕方だけに集中して観察する

数を求めてしまうのは自分のアイデアを受け入れる人にいつかで会えるだろうという期待から来ていることも気づいた。 オートスケーリングの技術がターゲットにマッチしないと思えたのは、取り組み始めてから半年以上たった時だったし、ある意味自分の熱狂してしまう熱さが冷めた段階で気づけたのかなと思う。

最近やっている課題インタビューの仕方

と、失敗を通じて気づいてきたことを元に行っている最近の課題インタビューの仕方を紹介。

一番はリアルに対面することだけど、会うことが難しい方のいるのでオンラインも組み合わせている。

リアルに対面

  • プロダクトは見せない。資料も持たない。会話だけする。
  • できればランチを食べながら行う。相手も「ランチのついで」という感じで身構えずに時間をとってくれるし、カジュアルに話しやすい。
  • シナリオを固めずに単純にアイデアの紹介とこんな課題があると想定していることを伝える
    • ガチガチのシナリオは想定している1つの課題があるかないかしかわからない
  • 想定している課題がなかったら、他の課題を探すようにする
    • その人が普段どういう風に過ごしているのか、その中で感じる課題は何かを質問しながら探す

オンライン

  • アイデアをブログに書いて反応を見る
    • 反応が良ければ次に進む。反応が薄ければそのアイデアはNG
  • ターゲットにFacebookメッセージ送って反応を得る
    • ブログのURLを示して、同じような課題を感じているか?どう思うか?を聞く
    • 文字のフィードバックでも示したものからずれたり、返信が遅い場合はNGと判断できる

合計5名まで聞いて判断する。

  • 3/5名がOKなら次に進む
  • 1名でも飛びつかなければNG
    • その課題を今すぐ解決したい人がアーリーアダプターで、アーリーアダプターが見つけられないと次に進めないため
  • 3/5がそうでもない反応ならNG

NGならそのアイデアはおしまい。新しいアイデアに取り組む。

だいぶ本よりカジュアルかつラフな感じだけど、もっと時間とコストをなるべくかけないでやりたいし、この方が新しい課題を見つけたりターゲットの業界の様子を知れたりする。

とにかく最初にやることは ターゲットと課題を見つけること なのでその手段はある意味なんでも良いと思う。


こんな感じで失敗談も交え気づいたことをアウトプットしていきます。

是非交流しましょう。フィードバックお待ちしています。

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