スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション – カーマイン・ガロ


スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼンが好評だったことで出された第2弾。第1弾がプレゼンの分析で今回がイノベーションを数々起こしてきたジョブズの特徴や考え方、その要素についての分析となっている。


スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則

前半部分は過去ジョブズがしゃべってきたことの要素をまとめているので、有名なスタンフォード大学でのスピーチやスティーブ・ジョブズの自叙伝 III を読んだ人にとっては新しい発見はないだろう。

よく言われている内容のおさらいと思って読み進めれば良いと思う。

後半はこの本でしか得られない部分になってくる。ジョブズのイノベーションを生むための特徴が共通している事例が紹介されているので、単にひとりの特別な人だから成し遂げられたのではなく、客観性を持って説明され自分でもできるんじゃないかと勇気付けてくれる。
事例は有名なスターバックス、ザッポスから電力会社、映画まで幅広い業種からの言葉を紹介している。
最後部分の「メッセージの達人になる」の章は「驚異のプレゼン」の内容と重複するが、やはり面白い。マーケティング・プロモーションの観点からも勉強になる箇所だ。

本書を読んで思うことは、やはりイノベーションは大きなビジョン・志が根本にあって、それをぶれずに追求する姿勢が必要条件なのだなと思う。
どうしてもイノベーションを起こすというと、ベンチャーやスタートアップのイメージにつながりやすく、資金を集めて人を雇ってスピードで膨らましてく印象が根強いが、本書では大きな資金力が必要ではないこと、常識の外側で考えることなどが紹介されていて、必ずしも一致しているとは言えない。

おそらく、その不一致による違和感を自分は感じ続けてきたのかもしれない。

投資されていることを意識すると企業価値、成長速度、売上規模のパラメータをどうしても重視される。そして、ビジョンや志よりもビジネス的成功を優先してしまって、当初の熱い思いやワクワクした気持ちが消えていく。そうやって本当はやりたくないものに時間を使うようになっていくのは、限りある人生の時間の使い方として不幸だ。
理想的にはビジネス的成功の方向性とビジョンが一致し続けて、大きな決断の時はビジョンを優先する風土を作っておくのが良いのだろう。

また、最近言われるリーンスタートアップのような、「小さく試して変更を繰り返し、より良いビジネスモデルに近づく」考え方をした時にも難しい状況が起こりえる。当初と違った方向に進むべきだと検証された場合、ビジョンをぶらさずにピボットできるかは創業者にとっては難しい部分だろう。

今、サービスを作って生活していくためのチャレンジを始めたばかりだが、本質的に忘れてはいけない部分を指摘してくれるような本だった。
「テクノロジーによって、色々な人が色々なことができるようになって、世の中が豊かになる」という志は今も変わらず持っているので、これを大事に守っていくことにする。