スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン – カーマイン・ガロ


プレゼンテーションは、最近はそうでもないがスタートアップをやっていた時は機会が多かった。今までの人生の中だと、卒業論文や修士論文・学会での発表会も貴重なプレゼンの機会だった。私の所属していた研究室ではプレゼンの練習を推奨していて、よく先輩や同期相手に練習した。先生の口癖は「中学生にでも分かるように話しなさい」だった。おかげで今でもプレゼンの苦手意識はなく、むしろ楽しめる感覚を持っている。プレゼンは大学で唯一社会に出ても役に立ったことかもしれない。

いつからか自分自身のプレゼンテーションへの認識は、一般的なものよりもう少し解釈が広くて「人に何かを伝えて共感を得たい時」はすべてプレゼンテーションだと思うようになった。
自分のアイデアを他人に説明する時、仕事でアウトプットを顧客に説明する時、妻に娘の夏期講習のコマ数について意見を伝える時、すべてプレゼンテーションだと思う。人生ではプレゼンテーションする機会は多い。常に良いプレゼンをしたいと思っている。

しかし、良いプレゼンテーションを実現するためには or 良いプレゼンテーションとはどんな要素が必要か、のような観点で述べられた本は今までなかった気がする。
そして、他人のプレゼンの質が良くなくってがっかりする。日本のビジネスにおいてはプレゼンを良くしようとする意識が、まだまだ足りない。
そんな時、アップル社のキーノートを見た。スティーブ・ジョブズがプレゼンするその場は熱狂的で実際観客は魅了された。そんな場が継続されるのでいつしか注目され、ワクワクしながらプレゼン当日を待つ。なぜジョブズのプレゼンは魅力的なんだろうと思いつつ、毎回キーノートを欠かさず見る自分がいた。


スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則

この本はそんなスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションを客観的に分析して、その構成要素を解き明かしている。そして「自分もジョブズみたいにプレゼンできるんじゃないか」と思わせてくれる。
実際私はこの本を真似してスライドを作り直し、しゃべる内容も変えてスタートアップイベントでビッチした。そのプレゼンは一人のエンジェルに刺さってプレゼン後に最も良かったと伝えに来てくれた。個人的にもあのプレゼンは気に入っている。

この本は人前にたって何かしらの説明・説得をする立場の人にピッタリだと思う。プレゼンテーションがうまくなりたい人にワクワク感を与えてくれる良書だ。プレゼン良くするための実用書の面が強い。具体的な方法と重要な問いと人前に立つ勇気を得てくれるから、それにちゃんと答えて実演すれば効果がでて、アップルらしいシンプルで分かりやすいプレゼンになるはず。
逆に冷やかしでななめ読みしても面白くないし、身につかないから読んだ意味が無いだろう。

この本を教科書にするとして他の教材も必要になるだろうから挙げておく。

  1. Apple Keynotes Podcast
    • 今までのキーノートをビデオのポッドキャストで見ることができる。
    • 特に iPhone 発表のプレゼンは洗練されていて素晴らしい。この前後の時代のプレゼンはみんな良いので、何度も見て参考にするといいと思う。
  2. 紙と鉛筆
    • いきなりスライドを作らずに、ヘッドラインやストーリーを練って練りまくって、考えだす必要がある
  3. キーノート
    • やっぱりジョブズの発表になりきるならキーノートでスライドを作りたくなるし、実際テキスト・画像のサイズ、表のデザインなど真似した

本書で紹介されているキーノートを実際見つつ文章読みなおして、確かにそうなっている!と実感して理解を深めていくと良いと思う。
本書をさらっと読んで、ハイできました。という簡単なものではなく、プレゼンは奥深い世界だし、アップルがやってきた労力は大きいので、読んだ人自身も労力を惜しまずじっくり本書とお付き合いしたら、その分の効果は必ず得られるはず。

皆さんのプレゼンが聴いている人をワクワクさせるような素敵なものになりますように。

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