なでしこ力 さあ、一緒に世界一になろう!


サッカーの世界はとても奥深く、勝つための戦術、人間マネージメントも絡んでくる。ビジネスを凝縮したような感覚を持つようになって、最近はサッカーの監督経験者の著作物を読んでいる。

日本女子サッカー代表・なでしこジャパン監督 佐々木則夫氏は女子ワールドカップ優勝という十分な実績。この人から学ばすしてなるものかという感覚で読み進めた。
テレビからの印象のみだが佐々木氏の人間味豊かであることを感じていたし、なでしこジャパンのサッカーは見ていてワクワクする楽しいサッカーをしているなという印象だった。その秘密も知りたいところだった。

なでしこ力 さあ、一緒に世界一になろう! (講談社文庫)

この本は、佐々木則夫氏が日本女子サッカー代表・なでしこジャパンのコーチをへて監督に就任した以降、2010年広州アジア大会で優勝、2011年女子ワールドカップ・ドイツ大会予選前までの期間における備忘録のような内容になっている。試合やトレーニングの具体的様子から、佐々木氏本人の経歴、家族との様子なども紹介している。

残念ながら女子ワールドカップ優勝や2012年ロンドンオリンピック準優勝のエピソードは載っていない訳だけれども、なでしこジャパンが成長し「ワールドカップでチャンピオンを目指す」と公言するまでの過程を追うことが出来る。

まえがきより、

僕は、コーチとしての2年間、監督としての3年間で、彼女たちを通じて日本の女性に備わる様々なパワーをたくさん知ることができた。そして、これらの力がすべて100%発揮されたら、2011年6〜7月に行われる女子ワールドカップ・ドイツ大会で、なでしこジャパンは世界の頂点に立てるのではないかと、僕は今、本気で感じている。

この実感が本当に実現されたんだなぁ、と思い心が熱くなる。

チャンピオンになるために何をしてきたか、という視点で見ると、

佐々木氏が監督に就任時からすでに、選手の能力を見極め、世界で勝つための戦略・戦術を思い描いていて、これが実現できれば「世界で勝てる」と思っていた。
それを3年かけて選手間の競争による新陳代謝を図りながら、質を高めている。ワールドカップから逆算して最初は戦術の徹底(外から内の全員で連動して守るゾーンディフェンスなど)、2010年アジア大会では勝ち抜くメンタルを付けさせるために結果にこだわるなど、その時に応じて必要なプロセスを着実に実行してきた。

正しい戦略・戦術、高い目標設定、達成するための的確なスケジューリング、プロセス途中の結果・修正の繰り返し。

これはサッカーだけではなくて、ビジネスの立ち上げ方にもとても活かせると思う。

スタートアップやインターネットサービスの立ち上げは、成功時の成長率の高さ、参入障壁の低さ、イノベーションの可能性の大きさから、とても不確実な世界と認識されやすい。それがゆえに、パッと作ってポッと出せばうまく行くかも。のような感覚があり、それはとてもビジネスの原則を無視しやすい状態なのではと懸念していた。
やはり、サービスを大きくするために、何を目論み、どのタイミングで何をするかを俯瞰できないと、焦ったり行き当たりばったりになる。
スピード感や緻密さはもちろん大事な要素だけれども、もっと重要なのは「何を成し遂げるために」「どれくらいの時間をかけて」「その時々で何をしていくか」なのではないかな。と思わせてくれた。

しかし、佐々木氏の文章の校正や展開がうまいなぁと思った。本人が全て校正したとしたらこの人はサッカー監督以外も素晴らしいスキルを持っている。人間力に加え勤勉さが結果として成果を上げているのだと思う。