小さなチーム、大きな仕事


小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

この本は 37signals という会社の創業者が書いた、起業に対する実践ノウハウ・考え方を示した本。
起業にまつわる、立ち上げ方、サービスの成長のさせ方、競合、プロモーション、社内文化に対して述べている。

内容は斬新で、スタートアップでよく言われる「早くリリースして早く失敗する」「資金調達してスピードを買う」という考え方を否定している。
昔から言われている、スタートアップの通説のようなものをことごとくひっくり返しているような感じすらある。

でも、彼らは自分たちが実践の中で掴んできた考え方で成長できているので、考え方の背景・理由を読むととても納得できる。
端的な文章をどんどん読み進めていくに従って、むしろこういった実践的に裏付けられた考え方こそが大事ではなかったのかと思える。

海外のスタートアップに関する本でも、学者やコンサルタントが書いていているもの多く、理論やマクロ視点での解説が多い。創業者の実践的なノウハウを紹介した本は希少であり、内容に対する説得力を感じる。

自分自身は、実はこの本を読む前から漠然と現状のスタートアップで推奨されているいくつかの考え方に疑問を持っていて、自分への賛同者としてこの本と出会えてとても嬉しかった。今自分が思っている起業スタイルに一番合っていた本といえる。
刺さった文章をいくつか抜粋する。

あなたの会社に最適な規模は5人かもしれない。40人かも。200人かも。もしかして、あなたとラップトップが1台あればいいのかもしれない。どのくらいの規模にするかをすぐには決めないことだ。ゆっくり成長して最適なサイズを見つけよう。

「起業家」という言葉はひっこめよう。時代遅れでお荷物だ。メンバー制クラブの臭がする。自分を起業家と呼ぶような特権階級だけでなく、誰でも自分のビジネスを始めることが推奨されるべきだ。

僕たちはサービス経済の世界にいる。サービスのビジネスは、大きな運営資金を必要としない。その手のビジネスなら、外部の資金は避ける事だ。

スタートアップとは不思議な場所だ。(中略)この不思議な場所の問題は、それがおとぎ話の世界だということだ。すべてのビジネスは、新しかろうが古かろうが、マーケットの力と経済のルールに支配される。収入があり、支出がある。利益を出せなければ、去るだけだ。

この本に述べられていることを実践するかしないかは読者次第だが、一度自分の起業スタンスを明確化するのには良い本だと思う。

スタートアップするということに漠然としたイメージしか持っいなかったり、適当にポジティブな成功イメージしか描けていない方には、自分が一体何を信じて起業というものに立ち向かっていくのか計る意味でも、この本を読んでみてはいかがだろう。

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